日本女性の乳がんは40代、50代がピーク。欧米と異なり若い世代に多く、近年30代の乳がんも増加傾向に。見つけるのが早ければ早いほど、身体的・精神的負担も少なく、経済的な負担も軽く済む。 今、受けるべき乳がん検診の内容と、「異常あり」「要精密検査」と結果が出たときの流れを知り、必要な検診をきちんと受けたい。
早く見つければ、心身も費用も、時間も、負担が少なく済む

今、日本では年間約1万2000人が乳がんで亡くなっている。これは、一日に30人という数になる。「しかし、早期に発見できれば、ほとんど治る病気」と東邦大学医療センター大橋病院乳がんセ ンターの岡本康部長は話す。早く見つかれば、切除する部分も少なく、経済的、時間的などあらゆる負担が少なくて済む。栃木県保健衛生事業団乳がん検診部の阿部聡子部長は、「早期発見のためには、自覚症状を感じないうちに、乳がん検診を定期的に受けてほしい」と話す。
検診で見つけられるのが早期がん。自己検診では「早期発見」は難しい
通常、手で触って分かるしこりは直径2cm以上で、専門の医師でも1.5~2cm。対して、がんが組織の外に広がる前の「早期乳がん」は2cm以下。これは画像検査で見つかる場合がほとんどだ。つまり、早期発見には画像検査が大事。
家族に乳がんの人がいるなら30代でも一度、自費検診を!
現在、行われている乳がん検診は大きく2種類(図1、図2)。一つは国のがん対策で行われる自治体検診(対策型)で、内容は自治体ごとに異なるものの、主に40歳以上2年に1回のマンモグラフィ(以下、マンモ)+視触診。もう一つは人間ドックや専門施設で行われているような、自費で受ける検診(任意型)。
マンモグラフィが有効、若い世代は超音波も
自治体検診は安価という長所はあるが、受診対象はほとんどの自治体で40歳以上。30代でも乳がんが増えていると聞くと、受けなくて大丈夫? と不安に。「40歳未満の若い世代で乳がんの罹患が増えているのは事実。特にリスクが高いのは母親、姉妹、祖母に乳がんの人がいる場合。こんな人は30代でも一度、検診を受けることを薦めたい」と阿部部長。
自費検診なら年齢に制限はなく、マンモに超音波検査を加える など、医師と相談して自分に適し た検診内容で受けることが可能。 また、「マンモは万能ではなく、乳腺密度の高い乳房には不向き。マンモと超音波にはそれぞれ、得意、不得意があることも知っておいて(図3)」と岡本部長。
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