【帯状疱疹】胸の片側だけに強い痛み その数日後、痛んだ場所に帯状の発疹が
胸の片側に強い痛みやヒリヒリ感があり、後日、その場所に発疹が出たなら帯状疱疹かも。
「帯状疱疹は、子供のときにかかって知覚神経に潜伏していた水ぼうそうのウイルスが、免疫力が落ちたときに再活性化して発症する。痛みが残らないようにするには早期治療が大切。放置せず皮膚科を受診して」と、まりこの皮膚科の本田まりこ院長。
症状:最初は発疹より痛み、顔に出ることも
帯状疱疹という病名は、体の左右どちらか片側に帯状の水ぶくれができることからきている。最初に激しい痛みが出るのが特徴だが、症状には個人差があり、かゆみ、違和感程度の人も。「痛みが先に出るのは、神経の根元で眠っていたウイルスが神経にダメージを与えながら増殖するから。4~5日で表皮に達して発疹として現れる」と本田院長は説明する。なぜ、片側にのみ痛みや発疹が出るのかは分かっていない。
女性は水ぼうそうの免疫が切れ始める20代と50代以降に発症しやすい。30~40代の子育て世代に少ないのは、わが子が水ぼうそうになるとウイルスを見張る免疫細胞の力が強まるから。免疫力が低下するがん、アトピー性皮膚炎、糖尿病の人、妊婦もかかりやすいので要注意だ。
治療:発疹が出て3日以内の抗ウイルス薬が有効
帯状疱疹で怖いのは、慢性的な痛みが残るケース。また、重症になると脳炎を起こし、亡くなる場合も。本田院長は「重症化や帯状疱疹神経痛を防ぐには、発疹が出始めて3日以内に抗ウイルス薬を服用し、神経の破壊を最小限に抑えるのがポイント。神経の麻痺や脳炎を発症している人にはステロイド内服薬の併用が有効」と話す。
痛みが残った場合、痛みのある神経と周囲に局所麻酔薬を注射する神経ブロックで、症状が改善する人も少なくない。
セルフケア:「水ぼうそうワクチン」を受けると安心
予防は過労を防ぐほかに、水ぼうそうの予防注射で免疫細胞の力を強化する手も。保険は使えないが自費で1万円前後だ。孫と同居する高齢者は免疫が高まり、発症しにくいとのデータもある。大人の水ぼうそうは重症化しやすいので、かかった記憶のない人はぜひ予防接種を。
帯状疱疹自体には感染力はなく、近くに行ったからといって帯状疱疹がうつることはない。しかし、もしも水ぼうそうになっていない人が近くに行けば、水ぼうそうを発症する危険性が高い。通常、水ぼうそうには1回しかかからないが、免疫が低下した人が帯状疱疹の人からの感染で2回目を発症する場合もあるという。
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