【治療と薬】
漢方やホルモン治療、早い対処で体調は戻る。リアル更年期の予防にも
月経不順や不調はあるけれど、まだリア更ではないから、我慢しよう―。この発想はNG。逆に、“かも更”だからこそ早く対処すべきと善方副院長はアドバイスする。「この時期から治療やセルフケアを始めておけば、本格的な更年期になってからの症状が軽くてすむ。むしろ先手を打つ、いい機会ととらえて」。
特に更年期症状が強く出やすい可能性がある人は、“かも更”の段階から準備を。例えば、「PMSがひどかったり、産後うつになったりした人は、もともとホルモンの変動に弱いため、更年期の揺らぎに翻弄されやすい」と寺内准教授。生まじめでストレス発散が下手な人も、症状が強く出やすい傾向がある。
月経がしばらく来なかったり、周期が以前と変わったりしているなら、まずは婦人科で診てもらおう。治療は、ホルモン剤と漢方薬が中心になる。「無月経が3カ月も続いているなど、月経異常がひどい場合や40代の場合は、最初からホルモン剤で治療する。症状が比較的軽く、他の体調不良なども伴うようなら、まずは漢方薬で様子を見ることが多い」と善方副院長。
ホルモン治療では、エストロゲンなどの女性ホルモンを補って、正常な月経周期や排卵を回復させる。一方、リア更でも“かも更”でも、「この時期よく使われる3大漢方は、加味逍遥散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」と寺内准教授。イライラが強い場合は「抑肝散(よくかんさん)がよく効く」(善方副院長)。ホルモン剤と漢方薬を併用することも多い。
「卵巣機能が多少低下していても、早めに対処すれば、正常な状態に戻ることもある。その後に来る更年期症状の予防にもつながる」と善方副院長。
漢方薬は、“かも更”にもリア更にも効果的。月経異常だけでなく、めまいや冷え、不眠など心身の不調も一緒に和らげてくれる。「当帰芍薬散」などの漢方薬は婦人科でよく処方される(健康保険が適用)。もちろん市販薬もあるので、体質に合ったものを選ぼう。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
- 抑肝散(よくかんさん)
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