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働くオンナの保健室

女性が心配な病気No.1の「乳がん」 早期なら“切らない治療法”も

高濃度乳房だと見つかりにくく、リスクも高い

【乳がんの最新治療法】
サブタイプで治療法は異なる“切らない治療”も選択肢に

 治療法は、がんの性質や進行度などに応じて決められる。基本は手術で、乳房の形をできるだけ残してがんを取り除く「乳房温存術」が主流だ。術後、再発や転移を防ぐために行う薬物療法では、「患者ごとにがん細胞の特性を調べ、サブタイプに応じて薬の内容を決める(下表)。最も多いのは増殖能力が低く、比較的おとなしいタイプの『ルミナルA』で、ホルモン治療がよく効く」と中村教授。

手術後の薬物療法はサブタイプによって異なる
切除したがん組織は病理検査で詳しく調べる。女性ホルモンによって増殖するタイプか、増殖に関わるHER2(ハーツー)たんぱくが多いか、がん増殖のスピードが速いかなど、がん細胞の性質に応じて5つのサブタイプに分類。タイプに応じて術後の薬物療法を決める。ホルモン療法が効くホルモン受容体陽性の「ルミナルタイプ」が約7割を占める。

 乳がんは早期に見つけて治療をすれば10年生存率が96%だが、発見と治療が遅れると生存率も当然低下する(下表)。早期発見・治療が何より重要だ。

早期発見、早期治療なら10年生存率は96%
しこりの大きさが2cm以下でリンパ節への転移がないステージI期なら、10年生存率は96%。II期でも86%。しかし、局所進行がんのIII期になると59%、遠隔転移のあるIV期では16%に低下する。乳がんは他のがんに比べて治療しやすいといわれるが、それは早期発見・早期治療が大前提だ。(データ:全がん協「部位別臨床病期別10年生存率」2002-2005年初発治療症例より作成)

 早期なら治療法の選択肢も広がる。例えば“切らない治療”として注目されているのが、「凍結療法」だ。直径3.4mmの針を患部に刺し、がん細胞を凍らせて破壊する。対象となるのは、がんの大きさが1.5cm以下でリンパ節に転移がないルミナルAタイプだ。この治療法のパイオニアである福間主任部長は、「体への負担が軽く、傷もほぼ残らない。2006年から304人に実施し、12年間で局所再発したのは3人。乳房温存術と同等、もしくはそれ以上の非常によい成績」と話す。

 この他、がんを熱で死滅させる「ラジオ波焼灼療法」も切らない治療の一つ(下参照)。こちらは国立がん研究センターなどで臨床試験が進行中だ。

メスを入れずにがんを除去する“切らない治療”の臨床応用が進む

凍結療法

がん細胞を凍らせて死滅させる

亀田総合病院では、治療は局所麻酔で、1時間程度で終了。日帰り治療が可能だ。健康保険は利かず、自費で35万円(税別)。治療後は、再発・転移予防で放射線治療とホルモン治療を行う。

治療の流れ

1

超音波画像を見ながら患部に針を刺す。

2

針の内側に液体窒素を流して、マイナス170℃でがん細胞を凍結。患部は氷で覆われた“アイスボール”状態に。

ラジオ波焼灼療法

がん細胞をラジオ波で焼き殺す

超音波画像を見ながらがんに電極針を刺し、その先端からラジオ波を発生させて熱でがんを死滅させる。直径1.5cm以下でリンパ節転移のない早期の乳がんが対象。治療は入院して行い、治療後は放射線治療を追加する。

乳房再建の最新事情

インプラントで悪性リンパ腫のリスク!?

乳房再建術で健康保険の対象になっていたアラガン社のインプラントが、2019年7月、販売中止になった。合併症として特殊なリンパ腫が起こる危険性があるとわかったからで、日本でも1例の報告がある。「このリンパ腫は、再建術から8~10年後、約3300人に1人の割合で発生するとされる。インプラント周辺に水がたまるのが初期症状なので、使用している人は年に1回エコー検査を受けるようにすると安心。再建した乳房に腫れや痛みなどが出てきたら、必ず医師に相談を」と中村教授。

(取材・文:佐田節子/イラスト:進藤やす子/図版:三弓素青/グラフ作成:増田真一)

出典:日経ヘルス2019年12月号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります

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