人の名前が出てこない、「あれ、それ」が多くなった、度忘れが増えた。もしや認知症!?―あなたもそんな悩みを抱えていませんか。もの忘れの背景には、うつ病や栄養不足、更年期などの原因が潜んでいることも。原因別もの忘れ対策を紹介します!

もの忘れが多く、認知症を心配をしている人もいるのでは。「40、50代で、もの忘れを気にして受診する人もいるが、このくらいの年代なら認知症以外の原因であることがほとんど」と筑波大学附属病院認知症疾患医療センター部長の朝田隆医師。牧野クリニック心療内科の牧野真理子医師も、「もの忘れが多くても、あとで『ああ、そうだった』と思い出せるなら認知症の心配はない」と言う。

加齢や疲労、睡眠不足、悩み事、ハードワークなどが重なると、脳もキャパオーバーになり、注意力や集中力が低下し、もの忘れを招く。病気ではなく、日常生活の中に原因があるこのタイプが一番多い。
もの忘れの原因で多いのは、疲れとストレス
では、本当の原因は? 「一番多いのは、疲れやストレスなどから一時的に頭の働きが落ちているケース。疲れているうえに悩みなどがあれば、誰でももの忘れが増える」(牧野医師)。
加齢も影響する。「もの忘れには、複数の情報を一時的に脳にメモする『ワーキングメモリ(作業記憶)』の力が関わっている。これは普通、加齢とともに低下する」と諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授。
一方、背後に何らかの病気が隠れていることも。多いのはうつ病だ。「うつになると脳の血流も悪くなり、脳全体の機能が落ちる。集中力や注意力、判断力も低下するので、当然、もの忘れも多くなる」と牧野医師。「女性の場合、甲状腺機能低下症によるもの忘れも多い」(牧野医師)。甲状腺ホルモンの分泌が低下して、体全体の代謝が落ちるため、体重増加、冷え、眠気などに加え、頭がよく働かない、意欲低下などの症状が出る。
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- 極端なダイエットも物忘れの原因に