更年期に増える手指のこわばり、痛みの見分け方について、3回に分けて紹介していく本企画。第1回は、変形性関節症と関節リウマチ、腱鞘炎の見分け方を紹介した。第2回となる今回は、変形性関節症がなぜ更年期世代に多いのか、朝に出やすいこわばりや痛みのセルフケア法、治療法などについて紹介していこう。
女性ホルモン量の急減で関節組織が腫れてこわばる
更年期世代になると、朝、手の指がギシギシとこわばったり、動かすと痛みを感じることがある。その多くは、変形性関節症の前兆である可能性が高いことを第1回で紹介した。変形性関節症の多くは、腱や滑膜(かつまく)が腫れて関節を慢性的に引っ張り、関節軟骨が削れることで徐々に生じる。
前兆といえる手指の不快な症状が更年期に出やすいのは、「女性ホルモンであるエストロゲン分泌量減少の影響によるものと考えられる」と四谷メディカルキューブ手の外科・マイクロサージャリーセンターの平瀬雄一センター長は言う。「エストロゲンを月経など生殖機能にだけ関わるホルモンと思っている人も多いが、実は、全身の生理的機能をつかさどる自律神経系や骨などにも影響を及ぼすことがわかってきている」(平瀬センター長)。
エストロゲンは、全身に分布する受容体と結合してはじめて機能する。エストロゲン受容体にはα(アルファ)とβ(ベータ)の2種類があり、αはおもに乳腺や子宮などの生殖器、βは骨、滑膜、甲状腺、血管などに多く存在し、その働きに影響するとされている。
