レーザーや硬化剤で壊れた血管を“焼く・固める・引き抜く”3大治療
下肢静脈瘤の治療は、大きく3つ。脚を圧迫する弾性ストッキングなどで症状を抑える「保存療法」、薬で静脈瘤の血管を固めてつぶす「硬化療法」、静脈瘤のある血管をレーザーで焼いたり、抜き取ったりする「手術療法」だ。「静脈瘤のタイプや重症度に応じて、治療法を選択する。保険が認められたことで、最近は血管内レーザー治療が急速に増えている」と金岡医師。もっとも、この病気は命にかかわらないので、つらい症状がなければ必ずしも治療をしなくていい。「実際、来院した患者さんの半数は、検査の結果、治療の必要がない」と広川院長。また網目・クモの巣状など、症状のない軽度の静脈瘤では、美容上の理由で治療を望む人がいるが、治療後に色素沈着が残ることも。医師と十分相談を。
ボコボコタイプには血管内レーザー小さな傷跡で日帰り手術も
2011年1月から健康保険が適用され、導入する医療機関が増えているのが、「血管内レーザー治療」。血管がボコボコ膨らんだ伏在型や側枝型の一部に適している。
局所麻酔をして皮膚の上から細い針を刺し、レーザーファイバーを太ももの静脈に挿入。血管の内側をレーザーの高熱で焼いてふさぐ。「以前は皮膚を切開して静脈を取り除いていたが、レーザー治療なら傷口が小さく、術後の痛みや出血も少ない。所要時間は30分程度で、日帰りで受けられる」と金岡医師。
なお、ふくらはぎの静脈瘤に対しては、レーザー治療に加え、「瘤(りゅう)切除術」も実施すると、治りがいい。「皮膚を数ミリ切開して、ボコボコに膨らんだ瘤の部分の血管を抜き取る。傷口が小さいので、治療後は縫わずにテープを貼るだけ。傷跡も残らない。レーザー治療と一緒に行うことで、後で追加治療をしなくてもすむ」と金岡医師。
こんな人に | 血管がボコボコ浮き出た伏在型、側枝型の一部。 |
特徴 | 局所麻酔で、小さな傷ですむ。術後の痛みや出血も少なく、体への負担が軽い。治療費は片脚で5万円程度(3割負担の場合) |
注意点 | 太ももにレーザー治療、ふくらはぎに瘤切除術、これらをセットで受けるのがベスト。血管内レーザー治療の実績が豊富な医療機関を選んで |
- 次ページ
- 血管を「固める」「引き抜く」治療法