子宮筋腫や卵巣のう腫があると、手術で取らなければならないの? 答えは両者で異なる。「子宮筋腫は症状がなければ経過観察だけで大丈夫だが、過多月経や貧血などの症状があって、日常生活に支障が出ている場合は、手術などの治療が必要になる。一方、卵巣のう腫は症状がなくても、のう腫を手術で取り除くのが基本」と森田教授。
まずは子宮筋腫の治療―。これには大きく薬物療法と手術療法がある。薬物療法では、つらい症状を抑えるのが先決。例えば過多月経で鉄欠乏性貧血がひどければ鉄剤が、痛みが強ければ鎮痛薬が処方される。
さらに「GnRHアゴニスト」というホルモン剤(点鼻薬と注射)が使われることも。筋腫の成長にはエストロゲンが深くかかわっているので、薬でこれを抑えると筋腫は一時的に小さくなる。ただし、この薬を続けて使えるのは6カ月間まで。「閉経と同様の状態になるので、長く使うと更年期のような症状が出てくる。手術前や閉経が近い場合などに使うのが原則」と百枝部長。
そこで治療の中心になるのが、手術だ。筋腫だけ取り除く「筋腫核出術」と子宮ごと取る「子宮全摘術」などがあり、妊娠を望むかどうかが選択の鍵になる。
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- 最近増えている腹腔鏡下手術