乳がん検診は、発症リスクに応じて必要な検診を受ける個別化検診が推奨されている。若くて低リスクの人が検診を受けると、被曝や過剰診断など、不利益のほうが大きいことがある。乳がんの原因から治療まで最新情報を紹介する。

【乳がんの基礎知識】
発症のピークは40~50代 女性がかかるがんの中で最も多い
日本で乳がんにかかる人は年間およそ9万人。女性がかかる全がんの中で最も多い。発症のピークは、閉経前後の時期である40~50代だ。
乳がんの発生・増殖には、卵巣で作られる女性ホルモン(エストロゲン)が関係しており、特に排卵時期に分泌されるエストロゲンにさらされる時間が長いほど、発症リスクを高めるとされる。
昭和大学医学部乳腺外科の中村清吾教授は「妊娠初期には、乳がんとの関係が深いエストラジオール(E2)というタイプのエストロゲンの分泌が低下するので、妊娠・出産回数が多いほど、乳がんの発症リスクは下がる」と話す。
また閉経後は、卵巣で作られるエストロゲンが大幅に減少し、その代わり、わずかではあるが体内の脂肪組織でエストロゲンが作られるようになる。そのため、BMI(肥満指数)が25を超える肥満の女性の場合、血液中の女性ホルモンが増加することで、乳がんの発症リスクが高まってしまう。閉経後は体脂肪のコントロールをすることが予防のカギだ。