ストレス緩和や退屈しのぎを目的に肌をかきむしったり、髪の毛を抜いたりしていないだろうか。これらの行為が習慣化してやめられなくなっているなら「皮膚むしり症」あるいは「抜毛(ばつもう)症」かもしれない。この2つは「グルーミング障害」と呼ばれ、同時に持っている人が少なくない。放置すると症状がエスカレートしやすいので早めに対処しよう。
【ストレスや欲求不満が背景に】
肌や髪へのこだわりが引き金、うつ病や不安症を伴うケースも
「皮膚むしり症」は肌の状態に過剰にこだわり、爪でかきむしったり、爪の甘皮をかんでむいたり、ピンセットや針などでむしったり刺したりする行為をやめられない“行動の病気”だ。頭髪や眉毛などを、薄毛になったり、はげたりするまで繰り返し抜く「抜毛(ばつもう)症」も同じタイプで、これらは欧米で「グルーミング障害」と呼ばれる。どちらも女性に多いことで知られ、皮膚むしり症の人の38%が抜毛症でもあると報告されている。
思春期に始まり成人後も続いている場合と、30~40代で新たに始まる場合がある。
ニキビやかさぶたをいじってしまうことは誰にでもある。「医学的に問題になるのは、その行為のために苦痛や、生活上の支障が出ているかどうかが決め手」と兵庫医科大学病院精神科神経科の松永寿人主任教授は話す。
例えば、仕事中もむしりたくて仕方がない、1日何時間も皮膚むしりや抜毛に費やす、むしったあとのキズや毛の喪失のせいで、人目が気になり、外出を避けている、といった状態になっているなら早めにケアしたほうがいい。「繰り返し行為は概してエスカレートしやすい」(松永主任教授)からだ。