日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > からだケア  > 誰にも言えない…オトコのお悩み相談室  > 管理職返上も… 極端な「あがり症」は病気?  > 2ページ目
印刷

誰にも言えない…オトコのお悩み相談室

管理職返上も… 極端な「あがり症」は病気?

「社交不安障害」の可能性も

 荒川直樹=科学ライター

限られた場面で症状が現れるケースも

 これに対して「限局型」と呼ばれる症状もある。例えば「書字障害」と呼ばれるタイプは「人前で字を書くのが苦手」というもの。「クレジットカードの伝票にサインできない」「ホテルのフロントで記帳できない」などの問題も生じる。また「食事障害」は複数の人と一緒に食事ができないというもの。社員食堂に入れず、コンビニで買ってきたおにぎりをトイレや屋上で1人で食べる患者の例もあったという。

 社交不安障害の新しい治療法は、患者の症状の強さや生活環境などを考慮しながら、薬物治療と心理療法を組み合わせる。薬物治療の進歩により、抗うつ薬の一つであるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が有効であることが分かってきた。社交不安障害の患者は、人前で起こったさまざまな症状を経験すると、「また恥ずかしくなるのでは」という不安が起こり、さらに症状が出やすくなる悪循環に陥りやすい。古賀教授は「こうした悪循環を、専門家によるカウンセリングや薬物治療で解消し、仕事や生活に支障が出ないようにできる」と話す。

 ところで、世界の特定の地域・文化圏に起こりやすい病気のことを、専門用語で「文化依存症候群」と呼ぶ。世界の医学書に日本人に特有の病気として記述されているのが「Taijin kyofusho(対人恐怖症) symptoms」だ。このように、人前に出るのが恥ずかしいという症状は、日本人にとって特別なものではない。

 では、ただの「あがり症」と治療が必要な社交不安障害は、どうやって区別したらいいのだろうか。診断には問診票が用いられており、さまざまな医療機関がWebサイトで公開しているが、最もシンプルなものを以下に示す。これを参考に、社交不安障害の疑いがあるかどうかをチェックしてみるとよい。

社交不安障害の問診(DSMによる簡易面接法)
1人前で話をしたり、食事をしたり、文字を書いたりするときに、他人から注目されていると思うと、怖くなったり戸惑ったりする。
21の症状について、自分でも恐がり過ぎていると感じる。
31の症状は、わざわざ避けたり、じっと我慢したりしなければならないほどである。
41の症状によって、職業・社会生活が妨げられているか、著しい苦痛を感じている。
これらのすべての項目に当てはまる場合、社交不安障害の可能性がある。

(次回は、体のかゆみに関するお悩みに答えます)

古賀良彦(こが よしひこ)さん
杏林大学医学部精神神経科 主任教授
古賀良彦(こが よしひこ)さん 1946年、東京都世田谷区生まれ。慶応義塾大学医学部を71年に卒業。76年に杏林大学医学部精神神経科学教室に入室、90年に助教授、99年に主任教授となり現在に至る。日本催眠学会理事長、日本ブレインヘルス協会理事長、日本薬物脳波学会副理事長、日本臨床神経生理学会理事などを務める。

先頭へ

前へ

2/2 page

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

  • もの忘れと認知症の関係は? 認知症リスクを下げる生活のポイント

    年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うもの。しかし、「名前が出てこない」「自分が何をしようとしたのか忘れる」といった“もの忘れ”は、中高年になると誰もが経験する。⾃分は周りと比べて、もの忘れがひどいのでは? ひょっとして認知症が始まったのか? と不安になる人も多い。このテーマ別特集では、もの忘れの原因や、将来の認知症にどうつながるのか、認知症を予防するにはどうすればいいのかについて、一挙にまとめて紹介する。

  • 痛風だけじゃない!「高すぎる尿酸値」のリスク

    尿酸値と関係する病気といえば「痛風」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、近年の研究から、尿酸値の高い状態が続くことは、痛風だけでなく、様々な疾患の原因となることが明らかになってきた。尿酸値が高くても何の自覚症状もないため放置している人が多いが、放置は厳禁だ。本記事では、最新研究から見えてきた「高尿酸血症を放置するリスク」と、すぐに実践したい尿酸対策をまとめる。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.