治ったはずの水虫が慢性化することも
水虫の原因菌である白癬菌(はくせんきん)は、カビ(真菌)の仲間であることはよく知られている。私たちの皮膚の表面は、医学的に見ると死んだ皮膚の細胞が集まってできた「角層」でできているが、白癬菌はこの角層のなかで生きる病原体だ。
白癬菌は、水虫患者の足から垢(細かく崩れた角層)とともに落ち、プールの更衣室の床、健康ランドの足ふきマット、居酒屋の共用サンダルなどに潜む。そして、運良く!?誰かの足の角質層に侵入した白癬菌は、菌糸を四方に伸ばし、やがてあの「かゆ~い」症状の水虫となるのだ。
初期によくあるのは、足の指の間が赤く腫れて皮がむけグジュグジュになる、足の皮膚に小さくてかゆい水疱ができるといった自覚症状。前者を「趾間(しかん)型」、後者を「小水疱(しょうすいほう)型」と呼ぶ。誰でも「あっ水虫だ」と気づく典型的な症状である。
これらは、2003年以降に市販薬としても発売された、新しいタイプの水虫薬(ネチコナゾール塩酸塩、アモロルフィン塩酸塩、ブテナフィン塩酸塩、テルビナフィン塩酸塩といった、処方薬と同等の成分が入っているもの)を塗ればよくなることが多い。しかし、治りにくいと感じたら、すぐに皮膚科を受診しよう。菊池院長によれば「一見水虫のようでも、汗が原因の『発汗異常性湿疹』(皮膚内での汗腺の詰まりによる湿疹)であることも多い」と話す。皮膚科では、顕微鏡を用いて角層に白癬菌がいるかどうかを確認し、適切な治療を行ってくれる。
そして水虫の治療は「徹底的」が原則だ。菊池院長は「治ったと思って途中で薬を塗るのを止め、翌夏に再発することをくり返していると、症状が慢性化してしまう」と話す。
慢性化が角層の厚い踵(かかと)などで進み、皮膚が白くボロボロになった状態が「角質増殖型」の水虫だ。また、爪は角層とは異なり、硬いタイプのケラチン(タンパク質)でできているが、そこに白癬菌が侵入すると「爪水虫」(爪白癬)となる。
爪水虫になっても痛みやかゆみは感じないが、爪が白~黄色に濁り、表面がもろくボロボロになる。爪の先端から徐々に根元に向かって広がることが多いが、縦方向に線状にできることもある。やがて爪が分厚く変形し、爪切りで爪を切るのも大変になったりする。
□爪が白か黄色に濁っている |
□爪がもろく、粉状に砕ける |
□爪が厚くて靴に当たって痛い |
□爪が厚くて切りにくい |
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- 爪水虫はじっくり飲み薬で治す