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誰にも言えない…オトコのお悩み相談室

“分かっちゃいるけど止められない”  コレってまさかアル中?

アルコールは“出来損ないの麻酔薬”、毎日ビール中瓶3本で赤信号

 荒川直樹=科学ライター

節酒のための治療薬も臨床試験中

 こうした生活改善による節酒が難しいケースでは、医療機関で薬物治療が行われる。そのための治療薬も進化してきている。

 アルコール依存症の治療薬としては、かつては抗酒剤しかなかった。これはアルコールの摂取によって肝臓で発生する毒性の強いアセトアルデヒドが、酢酸に変化する働きを阻害する薬剤だ。少量の飲酒でも、アセトアルデヒドによる顔面紅潮、血圧低下、動悸、呼吸困難、頭痛、嘔吐、めまいなどのつらい症状が出るため、飲酒量が抑えられる。

 2013年に保険適用された「アカンプロサート」(商品名:レグテクト)という医薬品は、飲酒欲求そのものを抑えるものだ。これは飲酒の欲求を高める脳内伝達物質グルタミン酸の活性を阻害することで、「飲みたい」という気持ちを和らげる働きがある。ただ、保険適用となるのが「アルコール依存症における断酒維持」なので、依存症と診断されていない人の節酒には利用できない。

 現在臨床試験中の「ナルメフェン」は、減酒薬として開発されているもの。アルコール依存が起こる過程では脳内のオピオイドが関与しているが、この薬はオピオイド受容体と結合することで、酒を飲んでも多幸感を感じにくくなり、酒量が減るというものだ。

 こうした新薬は、アルコールが脳におよぼす作用の研究から生まれたもの。垣渕医師は「このことからもアルコールという“薬”が脳に及ぼす作用の強さを知ってほしい。薬は用法用量を守らなければ危険なように、適切な飲酒を心がけてほしい」と話す。

垣渕洋一(かきぶち よういち)さん
成増厚生病院・東京アルコール医療総合センター長
垣渕洋一(かきぶち よういち)さん 1994年、筑波大学大学院医学専門学群博士過程修了。同大学附属病院などでの研修の後、2002年より成増厚生病院に勤務。臨床業務に加え、日本精神科看護技術協会、日本精神病院協会、地域の保健所、自助グループなどで講師としても活動中。「セルフケア・シリーズ アルコールこうしてつきあう」(保健同人社、2008年)の監修などを手掛ける。

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