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誰にも言えない…オトコのお悩み相談室

“分かっちゃいるけど止められない”  コレってまさかアル中?

アルコールは“出来損ないの麻酔薬”、毎日ビール中瓶3本で赤信号

 荒川直樹=科学ライター

まだまだ男盛りの中高年に容赦なく襲いかかる体の悩み。医者に相談する勇気も出ずに、1人でもんもんと悩む人も多いことだろう。そんな人に言えない男のお悩みの数々を著名な医師に尋ね、その原因と対処法をコミカルで分かりやすく解き明かす。楽しく学んで、若かりし日の輝いていた自分を取り戻そう。

建設会社に勤務する45歳。入社以来、ずっと営業畑を歩んできた。そのおかげで下戸だった自分もすっかり「いける口」に。自分では、こよなく酒を愛する伊達男のつもりだったが、先日、客先でのプレゼンの前の日に、ついつい深酒をしてしまった。頭はフラつくし、準備したことの半分も話せずじまいで意気消沈。いつの間にかオレは酒に飲まれていたのか。よく考えると、健康診断で出た肝機能の検査結果のことで妻とケンカしたばかり。毎晩、酔って帰る自分に対して子供たちも完全無視だ。ま、まさかオレは、ただのアル中おやじ!?
(イラスト:川崎タカオ)
[画像のクリックで拡大表示]

 イラン北部にある紀元前4500年前の遺跡で発見された壷から、ワインの名残が確認されるなど、人類と酒は古くからの友達だ。酒は、疲れた心と体を癒し、人間関係を豊かにしてもくれる。しかし、ひとたびコントロールを失い、不適切な飲酒を繰り返すようになると、酒は「猛獣」となって牙をむくようになるのも確かだ。

 ただ、自分にとって酒が「友人」なのか「猛獣」なのかは、意外に分かりにくい。例えば、仕事の後は毎日、家で晩酌するのが楽しみで、毎日欠かさず飲むという人もいれば、会社を出たら取りあえず1軒、週1回は午前様という人もいるだろう。いったいどこからが不適切な飲酒と言えるのか。さらにはアルコール依存症(アル中)を心配しなければならないのは、どの程度からなのだろう。今回は、ビジネスマンなら知っておきたい飲酒の基本リテラシーや飲み過ぎ対策について紹介していこう。

一段階ずつ進んでいくアルコール依存

 まず、アルコール依存とはどのような状態なのか。成増厚生病院・東京アルコール医療総合センターの垣渕洋一医師は「お酒を飲むことでさまざまな問題が起こり、本人も飲まない方がいいと分かっているのに止められず、問題が続いている状態」と話す。

 こう説明すると「まさか、自分はそこまではね」と思う人も多いだろうが、じつはアルコール依存症に一歩足をつっこんでいたりすることもある。症状が少しずつ、連続的に進むのが「不適切な飲酒」の特徴だからだ。下表は、飲酒習慣がどのように形成されるのかを示したものだ。

アルコール依存症の症状は少しづつ進展する
飲酒の形態機会飲酒習慣飲酒強迫飲酒連続飲酒
飲酒の頻度週に数回、宴会などの席で飲酒晩酌などで、ほぼ毎日飲酒早朝や夜中など、飲酒の時間や場所のTPOをわきまえなくなる起きている間は飲酒を継続する
飲酒によって生じる問題特になし身体疾患が生じるケースも家族問題
精神疾患
仕事問題
経済問題に発展するケースも

 最初は「機会飲酒」で、宴会などがあるときだけ飲むという状態で、それが大きな問題になることはほとんどない。しかし、機会飲酒をくり返していると、やがてそれが「習慣飲酒」となり、毎日飲む習慣ができてくる。ごく普通のビジネスマンにも多いと思うが、アルコール依存としては「常用量依存」に分類される。人によって差はあるが、健康上の問題が出てくる。酒を飲むことで肝臓やすい臓に障害をもたらしたり、逆流性食道炎、糖尿病や高血圧を悪化させる場合もある。各種がんなど、飲酒によってリスクが高まる病気は多い。

 そして、さらに依存が進むと「強迫飲酒」の段階となり、飲む時間と場所のTPOをわきまえなくなる。翌朝、運転しなければいけないのに、酒が残る時間まで飲んでしまう。朝、キオスクでつい缶チューハイを飲んでしまう。こうなると医療機関でもアルコール依存症と診断される。状態が悪化すると、仕事の欠勤などを重ねて、同僚や家族から「絶対飲むな」と詰め寄られても、隠れて飲んでしまうようになり、仕事の問題、経済問題も抱えるようになる。

 そして、アルコール依存症の最終段階が「連続飲酒」だ。垣渕医師は「起きている間は飲み続け、1週間もすれば体が耐えきれなくなり、医療機関に入院することになる」と話す。連続飲酒の段階まで進むと、断酒治療によりアルコール依存から一度は回復しても、何かのきっかけでアルコールを口にすると、再び連続飲酒をくり返してしまうことがあるという。

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