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誰にも言えない…オトコのお悩み相談室

股間に見慣れない「モッコリ」、不快感を解消したい

鼠径ヘルニア(脱腸)は日帰り手術で治る

 荒川直樹=科学ライター

80%以上は男性、立ち仕事や肥満が原因

 なぜ鼠径管という穴があるのか。じつは、男性の睾丸は、胎児のときに腹腔内で作られる。これが出生する少し前に鼠径管を通って下降し、陰嚢(いんのう)という袋に納められるのである。鼠径管は成人になってからも残り、睾丸に行く血管や精子を運ぶ精管などが、この穴を通っている。また、女性の場合は子宮を支える靱帯が通っている。

 鼠径管を通って腸が下腹部の皮下に飛び出してしまう鼠径ヘルニアは、乳幼児の場合はほとんど先天的なものだ。成人の場合は、年齢とともに筋膜など体の組織が弱くなって起こる。執行院長は「患者の数は、圧倒的(80%以上)に男性が多く、40代以降になって自覚するようになる。男性の方が鼠径管のサイズが大きいからです」と話す。

 こうした加齢が原因の鼠径ヘルニアの発症は、職業とも関係している。立ち仕事や重いものを持ち上げることの多い人は、下腹部における腹腔内の圧力(腹圧)が大きいから腸の一部が押し出されやすい。同じ理由で、便秘症の人、肥満の人、前立腺肥大の人、咳をよくする人も要注意である。

悪化すると激痛や吐き気も起こる

 鼠径ヘルニアで病院を受診する人は年間で約20万人と推定されている(厚生労働省、平成23年患者調査)。ただ人口が日本の倍のアメリカでは、治療を受ける人が年間80万人なので、日本でも治療を必要とする人は実際にはもっと多いのではないかと推測されている。

 受診しない理由は「なんだか人に言うのが恥ずかしいから」「手で押さえたり、横になればひっこむから」「仕事が忙しく手術すると言われても困るから」といったところ。要するに、我慢している人が多いのだ。

 執行院長は「ごく初期の症状では、腸が飛び出さなくても太もも(下腹部)のあたりに、不快感や痛みを覚えるだけの人もいる」と話す。しかし、放っておくと少しずつ腸が飛び出すようになり、卵の大きさになると多くの人が病気に気付くようになる。それでも治療せずに我慢している人は多いが、時に深刻な事態になることもある。

 それは嵌頓(かんとん)ヘルニアと呼ばれ、鼠径管から飛び出した腸が鬱血(うっけつ)を起こして腫れ、元に戻らなくなってしまった状態だ。激しい痛みを感じ、時に吐き気をもよおす場合もある。また、放っておくと腸が壊死してしまう恐れもあるので、緊急手術を必要とするケースもある。

 鼠径ヘルニアという病気の重要なポイントは、自然に治る可能性がほとんどないということだ。筋力低下は要因の一つだが、腹筋などのトレーニングをしても元に戻ることはない。そして、仕事中の腸の飛び出しで苦痛を感じたり、スポーツを楽しめなかったりと、治療しないかぎり、鼠径部が自分の体のウィークポイントであり続ける。

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