1枚刃より3~4枚刃、「順目」が基本
こうしたカミソリ負け、とくにタイプ1の状態を改善するには、皮膚のバリア損傷を最小限にするヒゲ剃りを心がけることが大切だ。まずはヒゲ剃り前には、しっかり保湿し、皮膚に潤いを与えておこう。理容室のようにホットタオルで顔を蒸らすのもいい方法である。
使うカミソリは、切れ味がよく皮膚にキズを付けないものがよい。そういう意味では、1枚刃の使い捨てのものより、3枚刃、4枚刃のものの方が優れている。剃るときには低刺激性せっけん、シェービングフォーム(泡)などをつけて「順目で剃る」のが基本だ。
そして、「何回も同じところを繰り返し剃るのは厳禁」(菊池院長)だ。自分の髭を1~2回できれいに剃れるカミソリを選び、剃れなくなって4~5回も擦るようになったら交換時期と思うべし。
なお電気カミソリは、一見肌に優しそうだが、強く当てれば、意外に皮膚へのダメージは大きい。電気カミソリでカミソリ負けをするようなら、切れ味のよいカミソリで剃る方がよい場合もあるという。
ヒゲ剃り後はきれいに石鹸を洗い流し、乾燥している時期、とくに室内に暖房が入っている時期には、肌に保湿効果のあるクリームなどを塗ろう。使いやすいものなら何を使ってもよいが、最近、皮膚科ではセラミドという角質層と同じ成分が入った保湿剤(ガルデルマ製「セタフィル」など)を使っており、セタフィルは市販もされている。低刺激で保湿効果が高い上、アレルギーの原因になりにくいという。痛みなどが長く続く場合は医師に相談してみるといいだろう。
赤味、プツプツは早めに皮膚科で相談を
症状がタイプ2、タイプ3のときは、セルフケアに頼らず早めに皮膚科に相談して欲しい。「一見似た症状でも、使う医薬品がまったく異なることがある」(菊池院長)からである。
例えば、タイプ2のニキビ、吹き出物に対しては、まずビタミンB2、B6を内服して肌荒れを抑えるとともに、必要に応じて抗菌剤の入った塗り薬などを用いる。それに対してタイプ3の場合は、アレルギー(かぶれ)の原因を突き止めるとともに、ステロイド剤などを用いて炎症を抑えることもある。菊池院長は「自己判断で市販の抗菌薬やステロイド剤などを用いると、逆に症状を悪化させることがあるので、できるだけ皮膚科で相談してほしい」と話している。
フレッシャーズはもちろん、毎日ヒゲを剃り続けるビジネスパーソンにとって、カミソリ負けは意外に大きな悩みだ。正しいヒゲ剃りの方法と皮膚の知識を持つことで、爽やかな毎日を送ってほしい。
医学博士、菊池皮膚科医院 理事長
