日経グッデイ

誰にも言えない…オトコのお悩み相談室

精力モリモリのオレに若白髪なんて!~3つの白髪撃退法教えます~

まずは食事、運動の改善から 脱毛症治療で改善することも

 荒川直樹=科学ライター

まだまだ男盛りの中高年に容赦なく襲いかかる体の悩み。医者に相談する勇気も出ずに、1人でもんもんと悩む人も多いことだろう。そんな人に言えない男のお悩みの数々を著名な医師に尋ね、その原因と対処法をコミカルで分かりやすく解き明かす。楽しく学んで、若かりし日の輝いていた自分を取り戻そう。

建設会社勤務の38歳。精力的に働くのがモットー。どんな難題も気力で乗りきってきた。平日は毎日残業でも休日は必ずジムで汗をかくことは欠かさない。仕事で弱音を吐く後輩は蹴り飛ばす。いろんな女性が声をかけてくるが、美人じゃないと相手にしない。ある日、そんなオレに向かって後輩が「あれ? 主任の頭に白髪みっけ!」と声をかけてきた。鏡でみると、たしかに耳の後ろあたりに、何本かまとまって白髪が生えている。うろたえたまま得意先回りをすると、先方に「君でもいろいろ苦労があるんだね。たまにはゆっくり休んだら」と笑われた。くやしい。まだ30代なのに。しかも、白髪なんてこのオレ様にふさわしくな~い…。若白髪って治るのかなあ。
(イラスト:川崎タカオ)
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 なんで髪の毛は白くなるのだろう。「実は毛髪は、もともと黒いわけではありません」と松倉クリニック・メディカルスパの松倉知之院長は語り出した。毛髪は毛穴の奥にある毛母細胞によって作られるが、その周囲には黒い色素であるメラニンを作り出す「メラノサイト」という器官が存在する。メラノサイトが作り出す色素を取り入れることによって、髪は黒くなるのだ。ちなみにメラノサイトには、真っ黒な色素を作り出すものと、黄色い色素を作り出すものがあり、その量の違いが茶色~黒といった髪色の違いになるというわけだ。

メラノサイトの機能が低下すると白髪ができる

 そして、加齢、病気、薬剤の副作用など、なんらかの原因でメラノサイトの機能が低下すると、メラニンを作ることができず、白髪になっていく。このメラノサイトの機能を元に戻すのは難しい。

 「メラノサイトが機能を失うメカニズムなど、完全には分かっていないことが多い」と松倉院長はいう。これまでいくつかのメーカーが白髪の改善を狙った成分を含む育毛剤などを開発してきたが、期待通りの効果を上げているとは言えない。

髪の色を作り出すメラノサイト
毛穴の奥には髪の黒~茶色のメラニン色素を作り出す「メラノサイト」という器官がある。その機能が低下すると、白髪になっていく。
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 では、白髪に対してどう向き合ったらいいのか。松倉院長は、「理由は分からないものの、普段の生活習慣が関与している場合、治療で改善することも少なからずあります。このとき白髪が警告している全身の状態に注意し、栄養や運動習慣などの見直しをすることが大切です」と話す。

食事で摂りすぎに注意するものとは?

 若白髪が全身の健康状態を映し出す鏡と考えるならば、まずは気を付けたいのは食事だ。松倉院長は「偏った食事や残業、睡眠不足などは全身の酸化を進行させるストレスをもたらし、白髪の原因にもなる」と話す。

 気を付けたいのは酸化ストレスの原因となる糖質の摂りすぎだ。糖質制限食のように極端な糖質制限は必要ないが、甘いものなどの摂りすぎは避けたい。最近は、さまざまな加工食品にたくさんの糖分が入っているので、こうしたものを避け、肉類、魚類などをしっかり摂るように気を付けたい。

 また、酸化ストレスの軽減や皮膚のコラーゲン組織に不可欠な、ビタミンA、C、Eを緑黄色野菜や果物などで取る。ミネラルでは、カルシウムやカリウムのほか、毛髪の健康には亜鉛が必要だ。亜鉛は、毛母細胞のように細胞分裂を盛んに行っている器官に必要な成分で、不足すると味覚障害などをもたらすことでも知られている。

 松倉院長のクリニックでは、こうした成分の不足がないかどうか血液検査を行い、亜鉛のように不足しがちな栄養素は、サプリメントなどで取ってもらうこともあるという。

運動でホルモンバランスを調整

 食事以外で重要なのは運動と睡眠だ。運動といっても忙しいビジネスマンに急に運動習慣を持ってもらうのは大変だ。そこで松倉院長が提案するのは、超簡単運動からのスタートだ。

 「まず指導するのは、毎日、腹筋1回、腕立て伏せ1回をやってもらうこと。これなら誰でもできる。続けてできるようになったら、次は2回ずつやってもらう」と松倉院長は話す。こうして少しずつ増やすうちに、多くの人がそれなりの運動習慣を持てるようになるという。

 こうした運動は夕食後、少したってからするといい。筋肉を使うことによって血糖値が下がる。すると「夜眠ってから成長ホルモンが出やすくなり、ホルモンバランスが整えられる」と松倉院長は話す。成長ホルモンは、毛母細胞の機能を高め、髪の健康を高めることにもつながる。

 若白髪に特効薬はないが、生活改善に努めることで改善が期待できるほか、全身の健康づくりを見直すよい機会となるだろう。

脱毛症の治療で白髪が目立たなくなることも

 松倉院長のクリニックでは、若白髪で受診した患者に対して、まずは頭髪チェックを行う。頭皮の異常は、白髪の原因になることもあるからだ。特に、男性型脱毛症(AGA)の進行が見られる場合、通常の毛の本数が減ったり細くなるなどして(薄毛)、白髪が目立ちやすくなることがある。最近では男性型脱毛症に対して5α還元酵素阻害剤などの薬物治療が登場している。「男性型脱毛症を治療すると、しっかりした黒毛が生えてきて、白髪が目立たなくなる効果も期待できる」と松倉院長は話している。

 もう一つ重要なのは頭皮の血流だ。正しく行えば洗髪時の頭皮マッサージなども有効だが、洗いすぎはむしろ頭皮にダメージを与えるほか、シャンプーやリンスなどの刺激を頭皮に与えるので好ましくないという。このほか、喫煙は頭皮の血流を悪くするので、髪のことを考えたら禁煙すべきだ。

松倉 知之(まつくら ともゆき)
松倉クリニック&メディカルスパ 院長・医師
松倉 知之(まつくら ともゆき) 1962年東京生まれ。1988年北里大学医学部卒業、同大形成外科勤務。99年より現職。ボトックス、ブルーピール、レチノイン酸などを日本に導入したことで知られる。一人ひとりの患者に結果の出る最良の治療法を提示することを信条とする。日本形成外科学会・日本美容外科学会・日本整形外科学会・国際形成外科学会専門医、医学博士。