聞きたかったけど、聞けなかった…。知ってるようで、知らなかった…。日常的な生活シーンにある「カラダの反応・仕組み」に関する謎について、真面目にかつ楽しく解説する連載コラム。酒席のうんちくネタに使うもよし、子どもからの素朴な質問に備えるもよし。人生の極上の“からだ知恵録”をお届けしよう。

いい夢を見てうれしくなったり、悪い夢を見て怖くなったり、意味不明なヘンテコな夢を見て自分の頭の中はどうなっているのかと思ったり…。あなたも夢の内容に一喜一憂することがあるのではないだろうか。夢は、眠っているときに頭の中で繰り広げられる、自分だけの上映会のようなもの。そもそも、夢とは何なのだろうか。
記憶をランダムにつなぎ合わせて夢になる
答えは、ずばり「記憶」の集まり。これまでに見聞きしたことや経験したことがいくつもつなぎ合わさって、夢になるのだという。日本睡眠学会理事で江戸川大学社会学部人間心理学科教授の福田一彦さんはこう説明する。
「脳にしまわれている過去の記憶の中からたまたま表れ出てきたものが結びつき、ストーリー化されて夢となる。数ある記憶の中からどれが掘り起こされるかは、その時々の精神状態やストレスなどの影響を受けることもありますが、ほとんどの場合はランダムです。昨日の記憶と5年前の記憶が突然結びつくことだってあります」
もともと脳は物事を秩序づけて理解する傾向があるという。何の関連性もないような記憶が浮上してきても、それらを適当に結び合わせて、つじつま合わせをするのだ。その結果、夢のストーリーが作られる。「だから、好きでもない人と手をつないで歩いているなどという、訳のわからないストーリーが生まれたりもする。ですから、夢の内容を気にしたり、意味づけをしたりして、一喜一憂する必要はないのです」と福田さん。
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