男性ホルモンが多い人はウソをつかない!?
平均年齢24歳の男性91人を2グループに分け、一方にテストステロン(主要な男性ホルモン)を、もう一方にプラセボ(偽薬)を服用してもらった。個室で0から5の目があるサイコロを振ってもらい、出た目を自己申告させる実験をした。出た目が大きいほど、たくさんの賞金をもらえることになっている。
誰も見ていないのだから、当然「(実際より)大きな目」を申告する人も多くなるだろう。最大の「5」が出る確率は6分の1、すなわち約17%しかないはずだが、プラセボのグループでは62.2%もいた。一方、テストステロンのグループで「5」が出たと言ったのは34.8%で、半分近い割合に抑えられたという(*2、グラフ)。
この実験の結果から見ると、男性ホルモンが多い人は卑怯なことをせず、“倫理的な”行動を取るようになったわけだ。
男性ホルモンが多い人は出世しやすい傾向もあるという。「ウソをつかず他人に公正に接し、無用な対立を避けるほうが結果的に出世につながるということかもしれません」と辻村さん。考えてみれば、他人を蹴落として自分の利益ばかり追求していては人望が得られないだろう。
攻撃的にはならなくても、男性ホルモンが多い人は精力的で元気が良くなる。外に出て、積極的に他人とかかわろうという意欲を起こさせる。また、リスクを恐れない冒険心も強くなるという。「テストステロンは社会性のホルモンなんです」と辻村さんは指摘する。
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- 「80%にうつ症状が見られた」
