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おとなのカラダゼミナール

「ため息」は体にいい? 悪い?

緊張をほぐし、自律神経のバランスを整えるリカバリーショット

 北村 昌陽=科学・医療ジャーナリスト

ストレスで優位になった交感神経は2時間は元に戻らない

 自律神経は、呼吸や心拍、血流、内臓の働き、体温調節といった、体のさまざまな働きをコントロールしている。その多くは、私たちの意識が及ばないところで稼働するため、働きぶりは意外と実感しにくいが、「自律神経がなければ、私たちの体は1秒たりとも生きていけません」(小林氏)というほど重要なものだ。

 通常の生活サイクルの中で、交感神経と副交感神経は、一方が強まると他方が収まるといった具合に、シーソーのようにバランスをとりながら働いている。たとえば1日の中で、日中は交感神経が優位になって活動的な状態を作り、夜は副交感神経が優位になって心身ともにゆったりする。状況に応じて両者の間をスムーズに行き来するのが健全な状態といえる。

 「しかし、ストレスが多い現代社会では、交感神経優位に偏ってしまう人が多いのです」(小林氏)

 体はストレスを感じると、交感神経を強く働かせる。そしていったん優位になった交感神経は、放っておくと2時間は元に戻らないという。「夜遅くまで残業すると、横になってもなかなか寝付けないのは、交感神経の優位が尾を引くからです」と小林氏。

 大事なのは、緊張と弛緩の切り替え。ため息は、交感神経の優位が長期化する前にリセットをしてくれるわけだ。なかなか頼りになるヤツなのである。

本当に疲れきったらため息も出ない

 ところで小林氏によると、自律神経のトラブルには、交感神経が優位になる「アンバランス型」のほかに、「トータルパワー不足型」というタイプもあるという。

 「交感神経と副交感神経の働きは、数値化して測ることができます。バランスよく両方とも高い数値になるのが理想で、交感神経だけが強いのはアンバランス型です。最近はこれ以外に、数値が両方とも落ちているタイプが目立ちます」(小林氏)

 これは、言ってみればアクセルもブレーキも動かない状態。「体が疲れきって、自律神経の働きが全体的に低下しているのです。交感神経優位の状態からのリカバリー的な調節も、まともに機能しないでしょう」と小林氏。アンバランス型よりさらに深刻といえる。

 そんな状況になると、ため息は?

 「ため息をつきたいことに、自分で気づかないかもしれませんね」

 うーん、そうなのか。それに比べたら、「つい、ため息が出てしまう」状態は、体がリカバリーをしようとしているわけで、まだ健全といえるのかも。

 「そう、ため息が出ているうちはまだいいと思って、バランスの改善に取り組んでください」(小林氏)

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