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おとなのカラダゼミナール

「異性愛」か「同性愛」かは何で決まる?

恋愛対象は体ではなく“脳の性別”が決めるものだった

 佐田節子=ライター

心の性別は脳の違いで決まる

 また、視床下部の少し上の方に位置する「分界条床核」(ぶんかいじょうしょうかく)という場所も、男女で違いがあるそうだ。ここは自分が「男である」と感じるか、「女である」と感じるか、いわゆる「性同一性」に関わる部位だという。

 この部分も男性の方が女性より神経細胞が多く、容積も大きい。異性愛男性でも同性愛男性でも、それは同じだそうだが、男性から女性に性転換をした人は、女性のように小さいことが確認されているという。つまり、体は男性でも、心は「自分は女性だ」と思っている、そのような場合は、分界条床核も女性型だと考えられるわけだ。

 「私たちは体の違いがそのまま性別だと考えがちですが、実は心(脳)にも性別があり、それは必ずしも体の性別とは一致しません。これは脳の中の構造に違いがあるからで、そういった脳の性差は『性的二型核』(せいてきにけいかく)と呼ばれています」と塚原さん。

 要は、「体が男で心も男」の人もいれば、「体は男でも心は女」の人もいる。女性の場合も、またしかり。体と心の性別の組み合わせを考えると、塚原さんは「少なくとも4つの性別があると言ってもいい」と話す。

心の性別は母親のお腹の中で決まる

 それにしても、なぜ体と心の性別が違ってくるのだろうか。それにはホルモンの働きが大きく影響しているという。

 そもそも性別は遺伝子によって決まることは、以前、理科の授業で習った記憶があるだろう。男女の性別は、お母さんの持つXX染色体と、お父さんの持つXY染色体の組み合わせによって決まる。XとXを受け継げば女の子、XとYを受け継げば男の子となる。

 「お父さんが持つY染色体には、『SRY』という性を決定する遺伝子があり、これを受け継ぐと精巣が形成され、男性になります。つまり、子供の性別を決めているのは、お父さん。お母さんのように子供を産むことはできませんが、お父さんも結構大事な役割を果たしているんです(笑)」と塚原さん。

 このような遺伝子による性別は、卵子と精子が受精した瞬間に決定するが、心の性別はお母さんのお腹の中にいるとき、胎生12~22週の頃にさらされる男性ホルモンによって決められるという。塚原さんはこう説明する。

 「この時期の胎児の脳は、性的に未分化な状態で、男性ホルモンの『アンドロゲン』の作用を受けて初めて男性化します。このアンドロゲンは胎児自身の精巣から分泌されるものです。女の子の場合は精巣がないので、アンドロゲンの作用を受けず、脳も女性化することになります。一方、男の子の場合でも、アンドロゲンが十分働かなかったりすると、脳が女性化し、遺伝子上の性別との不一致を招くことになるのです。ただ、このようなことがなぜ起きるのかまでは十分解明されていません」

 例えば、マウスなどの多産動物では、同時に何匹もの胎児が子宮内で育つことになるため、隣同士になる胎児が互いのホルモンの影響を受けやすいという。オスに囲まれたメスは、その兄弟のアンドロゲンに多少なりともさらされることになるため、生まれた後に“おてんば”になったり、逆にメスの姉妹に囲まれたオスはさらされるアンドロゲンの量が少ないため、“おしとやか”なオスになったりすることもあるというのだ。

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