食事の4~7時間後にお腹は鳴る
では、なぜあんな音が鳴るのだろう。“グーッ”“グルグル”“キューッ”など、いろいろなバリエーションがある。
「空腹期収縮が起こると、胃の中にある食べものの残りカスや水分、空気などが激しく撹拌(かくはん)されて、音が生じる。胃のどの部分がどう動くか、中に空気がどのくらいたまっているかなどによって、“音色”は違ってきます。胃の中の状態によっては、空腹期収縮が起こってもグーという音が聞こえないこともあります」と坂井さん。
なお、小腸でも空腹期収縮のときには、グーとかキュルキュルといった音が生じているが、胃の“大音響”に比べると格段に小さいと考えられる。
空腹期収縮は、一般に食事をしてから約7時間後に出現すると言われているが、坂井さんらが行った動物実験では、約4時間後に空腹期収縮と同様の強い収縮が確認されたという。
「食事をすると、胃は『食後期収縮』と呼ばれるモゴモゴとした動きを繰り返して、食べものを消化します。消化が進んで胃が空になると、食後期収縮に連続して、キューッと強い収縮が胃に起こる。これを空腹期収縮と呼ぶかどうかは議論の余地がありますが、収縮の強さはまさに空腹期収縮と同じ。もちろん、お腹もグーと鳴ります。例えば、朝食を7時半にとると、昼前の11時半くらいにはもうお腹が鳴って困るということも珍しくない。食事をした後の消化管の掃除は、もしかしたら従来言われているよりも早く始まるのではないか、と考えています」(坂井さん)
- 次ページ
- 十二指腸から出るホルモンが胃をくねらせる