感染、アレルギーによる充血は目の炎症
結膜の充血を起こす主な原因は3つあると、高橋氏はいう。
(1)感染(2)アレルギー
(3)目の疲労など
(1)では、ウイルス性結膜炎に感染して充血に至るケースが多い。「いわゆる“はやり目”と呼ばれる感染症で、プールで移りやすい夏の病気と思われがちですが、実際は1年中見られます」(高橋氏)。この病気は感染力が強く、子供から高齢者まで、誰にでも起きる。目やにや目のかゆみ、痛みなどを伴うことが多い。
(2)アレルギーが充血の原因となる場合は、今の季節の花粉症が代表的。だが、ハウスダストやダニが原因の場合は1年を通して発症する。こちらもしばしば、目のかゆみなどを伴う。
この2つのケースでは、目の「炎症反応」によって充血する。「どちらもよくある病気で、だれにでも発症します。発症の初期は目やになどの随伴症状が弱いことも多く、その場合、区別するのがかなり難しいです」(高橋氏)。
このため、たとえば例年花粉症で目が赤くなる人が、たまたま今ごろの時期にウイルス性の結膜炎になったりすると、少し面倒なことになる。
「本人は『花粉症だ』と思い込んでいるので、いつものアレルギー用点眼薬を使う。でも、どうもすっきりしないなどと思っているうちに、結膜炎がひどくなったり、家族などにはやり目を移してしまうといったケースがときおりあります」(高橋氏)
花粉症と細菌感染の混同に注意
ウイルス性結膜炎の場合、細菌感染による重症化を防ぐなど、アレルギーとは違う治療が必要だ。また人に移さないために、「学校や職場に行かない」「タオルなどを家族と分ける」といった対応も重要。眼科でウイルス性結膜炎と診断されれば、眼科医がそういった情報を伝えてくれる。
そういう対策が、花粉症と混同してしまうと遅れやすいというわけだ。
「はじめから見分けるのは難しいですが、目やにや目の痛みなど、“例年とは違う症状”が出てきた場合は、花粉症と決めつけずになるべく早く眼科を受診してください」(高橋氏)
もちろん、花粉症、ウイルス性結膜炎ともに、だれでも発症しうる病気だ。去年まで花粉症ではなかった人も注意しよう。
また、強膜炎やぶどう膜炎といったより深刻な病気でも、素人目には結膜炎と区別しにくい充血が起きることがある。この場合はたいてい、目の痛みや視野全体がかすむなど、充血以外の症状が強く出るので、そんなときはすぐに眼科を受診しよう。
ちなみにアレルギーによる充血の場合、症状を抑える最も確実な方法は、花粉などアレルギー物質との接触を減らすこと。密封性の高いメガネやゴーグルを利用するといいだろう。
- 次ページ
- ドライアイ、老眼も目の充血を起こす