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おとなのカラダゼミナール

大きく分厚い“スポーツ心臓” それって病気?

激しい運動を続けると、心臓が大きく、安静時心拍数が少なくなることも

 伊藤和弘=フリーランスライター

一般人の心拡大や心肥大の原因は?

 「スポーツ心臓だと思っていたら病気だったということもある。例えば競技をやめてから1年経っても心臓の大きさが元に戻らない場合、これは病気です」(山下さん)

 一般に心拡大の原因は、心臓の収縮力が低下することだ。収縮力が弱くなって1回の収縮で十分な血液を送り出せないため、心臓が大きくなっていく。放っておくと坂道で息切れしたりする「心不全」を起こし、肺に水がたまったり、突然死したりすることもある。残念ながら完治はしないが、薬で拡大の進行を抑えることはできるという。

 心肥大の原因はほとんど高血圧だ。前に触れた重量挙げ選手の心臓と同じ原理で、高い血圧に耐えるために心臓の壁が厚くなる。山下さんによると、こちらは「血圧のコントロールによって治療が可能」という。

 心拡大や心肥大は、レントゲンや心電図で見つかる。一般のビジネスパーソンの場合、スポーツ心臓ということはほとんどないので、「毎日走ってるからだな」などと能天気な勘違いをせず、指摘されたら素直に精密検査を受けてほしい。

運動しても心拍数が上がらない徐脈性不整脈

 一方、スポーツ心臓ではないのに心拍数が低くなる状態も、やはり放置してはいけない。具体的には、1分間の安静時心拍数が50を切ることを「徐脈」といい、スポーツ選手でない場合、「徐脈性不整脈」という病気の可能性が高い。徐脈性不整脈になると、4~5秒間心臓が止まることがある。すると脳に血が届かなくなって失神してしまう。

 スポーツ心臓が原因で徐脈になる人との違いは、いくら運動しても心拍数が70や80くらいまでしか上がらないことだ。そのため、すぐに息が切れて長時間の運動ができない。いざとなれば心拍数を増やせるスポーツ選手の徐脈とは異なり、まったく持久力がなくなるわけだ。

 「原因は心臓の中で心拍数をコントロールしている洞結節(どうけっせつ)の機能低下。症状が出なければ経過を観察して様子を見ますが、完全に治すにはペースメーカーを植え込む以外ありません」と山下さんは話す。

 というわけで、スポーツ心臓とは10代の頃から激しいトレーニングを重ねてきた一部の現役スポーツ選手だけがなる“異常”な状態。心拡大や徐脈に気づいたら、決して軽く考えず、すぐに病院に行くようにしよう。

山下武志(やました たけし)さん
公益財団法人 心臓血管研究所 所長
山下武志(やました たけし)さん 1961年生まれ。東京大学医学部卒業。大阪大学医学部第二薬理学講座、東京大学医学部循環器内科を経て、2000年に心臓血管研究所第三研究部長。2011年より現職。日本心電学会理事。日本不整脈学会理事。著書に『誰でもスグできる! 不整脈と心臓病の不安をみるみる解消する200%の基本ワザ』(日東書院本社)、『心房細動に悩むあなたへ 改訂版』(NHK出版)など。

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