おしっこが濃くなるのは、脱水のサイン
通常、赤血球の分解スピードは一定なので、おしっこの色素も一定のペースで作られる。おしっこの色の濃さが変わるのは、排泄される水分の量が変化するためだという。
「体液濃度を一定にキープするために、腎臓は尿の水分量を細かく調節しています。体内の水分量が増えたときは、尿を増やす。すると、おしっこの色が薄くなります。逆に、水分が減ったときは、尿の量が減るので、色が濃くなります」
つまり、おしっこの色が濃くなったときは、体内の水分が不足気味。いわば「脱水のサイン」だと飯野さんはいう。
「よく、“疲れると尿の色が濃くなる”などと言われますが、ただの疲労で濃くなることはありません。その疲労感の原因は脱水ですから、すぐに水分を補給してください」
もっとも、朝一番のおしっこの色が濃いのは正常。睡眠中は、尿の量を減らすために濃縮されるのだ。日中に濃いおしっこが出たら要注意と覚えておこう。
色だけでなく、においや泡立ちにも要注意
「ほかにも、おしっこから分かる病気のサインがあります」と飯野さん。まずは頻度。尿は、1日7~8回ぐらい出るのが標準的。だが膀胱炎などになると、その刺激で何十回も行きたくなる。
色も注目ポイント。腎臓や膀胱に感染があると、牛乳のように白く濁る膿尿や、おしっこに血が混じって赤くなる血尿が出ることがある。こんな時はすぐに病院へ行こう。
においや、泡立ちに変化が出ることも。糖尿病などで、尿の匂いが甘酸っぱくなることがある。また、たんぱく尿や尿糖になると、妙に泡立ちが良くなるという。
「尿には、体のいろいろなサインが現れます。普段からちょっと意識するだけで、早めに異常を見つけられます」と飯野さん。なるほど~。覚えておきたいものだ。
日本医科大学 名誉教授。湘南医療大学学部長。
