聞きたかったけど、聞けなかった…。知ってるようで、知らなかった…。日常的な生活シーンにある「カラダの反応・仕組み」に関する謎について、真面目にかつ楽しく解説する連載コラム。酒席のうんちくネタに使うもよし、子どもからの素朴な質問に備えるもよし。人生の極上の“からだ知恵録”をお届けしよう。

一段と寒さが厳しい季節になってきた。筆者もそうだが、気温が下がると外に出るのがおっくうになる。休日はつい室内でゴロゴロ、という人が増えているかもしれない。
そんな絵に描いたような「冬ごもりモード」の生活をしていると、ふと、表題のような疑問が湧いてきた。
「人間は、冬眠できないのだろうか?」
かつては人類も冬眠していた!?
自然界にはリスやクマなど、冬になると巣穴にこもって冬眠に入る動物がいる。彼らも人間と同じ哺乳類。体の作りにそれほど大きな違いはないはずだ。
それに、SF映画などではよく、宇宙船に乗った人間を冬眠状態にして何万光年も離れた星へ宇宙旅行をするようなシーンが出てくる。現代科学の立場から見たとき、ああいった技術はどれほど現実的なのだろう?
そこで、冬眠の仕組みの解明に挑んでいる若き研究者、東京大学大学院薬学系研究科助教の山口良文さんに、冬眠のメカニズムや、人間が冬眠する可能性について話を聞いてみることにした。
「実は、かつて人類も冬眠していたのではないかという説があります」と話し始めた山口さん。えー、本当ですか?
「ええ。ただ、仮にそうだとしても、リスのような深い冬眠とは異質なものだったと思われますが。冬眠にもいろいろあるのです」
ほー、なんだか面白い話になりそうだ。
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- 冬眠中は睡眠不足になる!?