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おとなのカラダゼミナール

人間も冬眠? 実現すれば究極のアンチエイジング法に

新しいメタボ予防法や健康長寿実現への応用も

 北村 昌陽=科学・医療ジャーナリスト

「冬季うつ症」は冬眠の名残かもしれない

 さて、同じ冬眠といっても、クマのそれはリスとかなり違う。体温は30度前後とかなり高い。もちろん平時の体温(37度ほど)よりは下がっているので、エネルギー消費量も普段よりは低いが、リスほどの低下ではない。クマはリスよりはるかに体が大きいので、最低限の生命活動を維持するために生じる熱で、ある程度の体温を維持できるようだ。

 そして脳波を測ると、睡眠中に似た脳波が出ている。だからリスのような睡眠不足にはならないようだ。このため、リスの冬眠を「深冬眠」、クマの冬眠を「冬ごもり」と区別することもある。

 人間の体格は、リスよりはクマに近い。「もし人類の祖先が冬眠していたとすれば、クマに似たスタイルだったでしょう」と山口さんは話す。

 「系統的にかけ離れたさまざまな哺乳類が冬眠するという事実を進化論的に考えると、『哺乳類の共通祖先は冬眠をしていた』という解釈が成り立ちます」と山口さんは話す。人間を含む9割以上の哺乳類は、その後の進化で冬眠しなくなったが、シマリスなどはその能力を現代まで受け継いだ、ということなのかもしれない。

 現在、人類は冬眠をしていない。だが、冬になるとうつ症状が強く現れる「冬季うつ」は、冬眠の名残ではないかという説がある。冬に体の活動性を低下させた作用の名残が、季節性のうつ症状として現れるというのだ。

 実際、ロシアなど寒冷地の農村では18世紀頃まで、冬になるとほとんど食事を摂らず、一日中暖炉のそばで寝て過ごす風習があったといわれる。食料事情が改善した現代ではもう見られないが、人体の中にも、そんなふうにして厳しい冬を耐える能力が、冬眠の痕跡として残っているのかもしれない。

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