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おとなのカラダゼミナール

人間も冬眠? 実現すれば究極のアンチエイジング法に

新しいメタボ予防法や健康長寿実現への応用も

 北村 昌陽=科学・医療ジャーナリスト

冬眠中は睡眠不足になる!?

 冬眠とは、哺乳類などの恒温動物が体温を下げ、エネルギー消費量を落として食べ物が少ない冬を過ごすことだ。冬眠をする哺乳類は、リスやクマ、コウモリ、ネズミ、サルなど、かなり幅広い種類がいる。4000種を超える哺乳類の4~5%が冬眠動物だという。

 「冬眠するリスは、冬眠に入ると体温が外気温と同じぐらいまで下がります」と山口さん。外が4度なら体温は5度といった具合だ。呼吸数や心拍数も極端に下がり、大脳皮質の脳波が消える。一見すると、とても生きているようには見えない姿だ。

 だが1週間もすると、体温が一気に37度まで戻り、覚醒する。そして1日ぐらい経つと、また冬眠に戻る。ひと冬のうちにこのサイクルを何度も繰り返すのだ。

 「通常、冬眠しない動物の体温が5度まで下がると、心臓などの組織がダメージを受け、死んでしまいます」と山口さん。だがリスの体には、損傷を防ぐメカニズムが備わっているのだ。

 仕組みの詳細はまだよく分かっていないが、「冬になると、冬眠モードのスイッチが入るようです」と山口さん。リスの体内で血流を一旦止めて急に再開させ、活性酸素を発生させると、夏には体に大きなダメージを引き起こすが、冬は損傷が少ないという。「冬眠モード」のスイッチが入った体は、組織の障害に強いのだ。

 ひとつ、面白い話を。冬眠からいったん覚醒したリスは、少し餌を食べて排泄したあと、今度は普通の睡眠を取るという。「冬眠でずっと眠っていたのにまた眠るの?」と思うかもしれないが、実は冬眠と睡眠は、大きく異なる現象。睡眠中は、脳が活発に活動する「レム睡眠」や、眠りが深まる「ノンレム睡眠」などの状態になり、それぞれ特徴的な脳波を示す。だが冬眠中で体温が下がったときの脳は、そういった活動を全くしない。

 「冬眠中は睡眠を取れないので、冬眠から覚めたリスは“睡眠不足”になるという説もあります」(山口さん)。それを解消すべく、ぐっすりと眠ってから、また冬眠へ戻っていくというわけだ。

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