日経グッデイ

ダイエットにいいのはどっち?

睡眠の“ゴールデンタイム”を効果的にするコツ

オトナにも嬉しい成長ホルモンの機能を最大限にする3つの条件とは?

 古谷暢基=健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサー

ダイエットの方法、考え方には諸説ありますが、この連載では、健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサーであり、日本ダイエット健康協会代表理事として『「食べる」だけダイエット』(マガジンハウス)などの著書もある古谷暢基さんに、ダイエットに関する最新の考え方、ノウハウを紹介していただきます。

 世の中の女性が大好きな“ビューティーのゴールデンタイム”。よく言われるのが、「午後10時~午前1時の間に、お肌の修正を行って代謝を上げる成長ホルモンが分泌されるので、それまでに床についていないといけない!」というものですね。

 しかし、お仕事・家事・子育てと、フル回転で活躍し、忙しく頑張っている女性たちの何割が、この時間に寝ることができるのでしょう? あるいは頑張って床に入っても、間違った知識で、ゴールデンタイムでも成長ホルモンがほとんど出ないケースもあるのでは? …ということで、今回は成長ホルモンの本当のところを勉強します。

 ゴールデンタイムに眠れなくても、バッチリと成長ホルモンを活躍させるノウハウなど、忙しい皆様にとって耳より情報です!

 まずは次の問題についてお考えください。

【問題】どちらのOLさんの方がキレイになれる?
(A)21:00まで残業があったが、急いで帰宅してさっとご飯を済まし、23:00までに頑張って床についた。
(B)21:00まで残業があったが、帰宅してからご飯を食べ、お風呂に入ってゆっくり映画をみて、1:00過ぎに床についた。

 答え:(B)

 ビューティーに関する“ゴールデンタイム伝説”は、「時計遺伝子」の考えから来ています。時計遺伝子とは、人の生理機能が昼と夜のサイクルからなる24時間リズムで働くよう調整されており、夜間の“成長ホルモン修復タイム”もそれに左右されるというもの。長い生物の歴史に裏付けられたこの説、確かに一理ありますが、こと成長ホルモンに限っては、もっと重要な条件があります。

血糖値が高い状態のまま寝たら、たとえゴールデンタイムであっても、成長ホルモンは十分に分泌されない。(©solgas-123RF)

 成長ホルモンとは、脳下垂体から分泌されるペプチドホルモンの一種。その主な役目は、

  • (1)成長期・思春期に、身体の活発な成長を促す
  • (2)血糖値を上昇させたり、体脂肪を分解するなど、エネルギー代謝を上げる
  • (3)お肌、その他の体組織の修復を行う

 など。大人の場合の恩恵は上記の(2)と(3)で、この機能を最大限に発揮するための成長ホルモン分泌条件や状態がいくつかあります。


  • (ア)血糖値(血の中の糖分の量)が低い状態になる(60mL/dL以下)
  • (イ)睡眠後の1回目のノンレム睡眠時(就寝後、90分前後に訪れる人が多い)
  • (ウ)運動の後

 このうち、必然条件となるのが(ア)の血糖値。血糖値が低い状態にならなければ、たとえゴールデンタイムであっても、成長ホルモンは十分に分泌されません。逆にゴールデンタイムを外れていても、しっかりと血糖値が下がった状態で睡眠に入れば、ビューティー&ダイエット効果が十分に出るのです。

就寝前の2~3時間の過ごし方が大切

 問題では、(A)のOLさんは少しでもゴールデンタイムに近づけるため、食事をとってすぐに就寝についています。これでは、成長ホルモン分泌条件の1回目のノンレム睡眠時に血糖値が高いまま。つまり、大チャンスを逃してしまいます。

 一方で、(B)のOLさんは夕食後ゆったりと時間をとっています。この間の入浴がポイントで、シャワーだけで済ませず、浴槽に入ることが大事。これによって軽い運動をした状態のようになり、血糖値がしっかり下がります。食べ物の消化には2~3時間ぐらいかかるので、夕食後、最低2時間は空け、その間にお風呂や軽い家事などを行うと、ますます血糖値は下がり、成長ホルモン効果だけでなく、脂肪貯蔵ホルモンのインスリンの過剰分泌も抑えられます。

 “ビューティー&ダイエットホルモン”の代表格、成長ホルモン効果を発揮する秘訣、忙しい皆様は無理に寝る時間を早めることなく、寝る前の2~3時間の過ごし方に注意してください!

古谷暢基(ふるや まさき)さん
健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサー
古谷暢基(ふるや まさき)さん 本や雑誌の著者、講演、講師などとして活動する一方、同時にルーシーダットンの代表取締役として、数々の健康・美容ビジネスを仕掛ける。日本ダイエット健康協会代表理事、和ハーブ協会理事長。ダイエット・予防医学のスタンダード知識を発信する検定・資格「ダイエット検定」の受験者数は1万人を突破。著書に『「食べる」だけダイエット』(マガジンハウス)など。
日経ウーマンオンライン2013年8月27日付け記事からの転載です。