日経グッデイ

ダイエットにいいのはどっち?

皮下脂肪と内臓脂肪、分解されやすいのはどっち?

脂肪の特徴を理解してこそ、ダイエットを成功に導く

 古谷暢基=健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサー

ダイエットの方法、考え方には諸説ありますが、この連載では、健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサーであり、日本ダイエット健康協会代表理事として『「食べる」だけダイエット』(マガジンハウス)などの著書もある古谷暢基さんに、ダイエットに関する最新の考え方、ノウハウを紹介していただきます。

 前回の記事「やせて見えても体脂肪率30%は『かくれ肥満』」で勉強した肥満の基準となる体脂肪(貯蔵型の中性脂肪)は、大きく2種類に分けられ、それぞれの特徴・役割・身体へのリスクに違いがあります。また年齢や性差により、つきやすい体脂肪の種類やつく場所が違ってきます。

 逆に言えば、それぞれの脂肪の特徴を知ることが、体脂肪を減らすダイエットのコツに繋がるということになります。

 今回は体脂肪の基礎と最新情報を勉強します。まずは、いつものようにまずは次の問題についてお考えください。

【問題】どっちがやせやすい?(両者とも年齢は30歳)

(A)ほかの部分はスマートだけど、お腹だけがポッコリ出た男性
(B)お腹はスマートだけど、太ももに脂肪がたっぷりの女性

 答え:(A)

 体脂肪はそのつく箇所(脂肪細胞の場所)により、大きく内臓脂肪と皮下脂肪に分けられます。

 皮下脂肪とは、表皮の下1~3cmにある皮下組織の脂肪細胞に貯まる脂肪で、全身に分布します。分解しづらく、エネルギー長期貯蔵の役割を持つ体脂肪です。

 対して内臓脂肪とは、内臓を包む膜につく脂肪のことをいい、いわゆるメタボリック症候群の原因となる体脂肪です。合成・分解のスピードが速いことが特徴です。

内臓脂肪皮下脂肪
場所内臓を囲む膜
(大網、腸間膜など)
全身の皮下組織
性差男性につきやすい女性につきやすい
役割短期エネルギー貯蔵、内臓の位置固定長期エネルギー貯蔵、体温保持、外部ショックからの体内組織の保護
疾病リスク高い
(糖尿病や心虚血疾患等の生活習慣病)
低い
(但し、過剰な場合は心臓や膝などの運動器への負担)
その他分解、合成のサイクルが早い(減らしやすい)分解されにくい(減らしにくい)、ホルモン分泌機関としての役割など

 さて、皮下脂肪が女性に貯まりやすく、内臓脂肪は逆に男性に貯まりやすいことには、性ホルモンのはたらきが関係しています。

 例えば、女性の生物としての一番重要な仕事は、妊娠・出産して子孫を残すこと。つまり、妊娠時に内臓周辺の脂肪が多ければ、子宮は当然圧迫されリスクや不便が伴うので、お腹につけずにお尻や太ももに落とし、あるいは二の腕まわりに貯蔵脂肪をつけます。

 対して男性は妊娠をせず、外に出て長期に渡る狩猟・採取活動をしたり、外敵との闘いが生物的な役割。そのため、四肢や骨格筋まわりに脂肪がつけば機能的に落ちてしまうので、スペースが大きい内臓まわりに、貯蔵・消費サイクルが早い脂肪を蓄えるのです。

 逆にいえば、女性ホルモンの分泌が止まる更年期以降は、女性も内臓脂肪がつきやすくなります。

分解されづらい皮下脂肪を減らすには気長がプランが必要。(© jedimaster -123rf)

 それぞれの脂肪における特徴から、一般的には内臓脂肪型の男性の方が、生活習慣・運動量の改善などで、短い期間でダイエット効果を確認しやすいといえます。腹部にはさらに皮下脂肪もあるので、2種類の脂肪がダブルで落ちることで、お腹まわりのサイズダウンは見えやすいこともご理解いただけると思います。

 対して、皮下脂肪は分解されづらく、少々気長なプランが必要になります。皮下脂肪減少にはマッサージが効果的です。やりかたのコツは、サイズダウンしたい場所の皮下組織に刺激が入るよう、少々強めに行うこと。時間は少なくとも2分以上は続けてください。該当部位の皮下脂肪が、使われやすい形の「脂肪酸」に分解されて血液中に流れ出るのを助けます。また、マッサージ後1時間は、流れ出した脂肪酸が使われやすい状態に身体を置くのがポイント。有酸素運動が理想的ですが、朝の出勤前や入浴前でも多少の効果は期待できます。

 脂肪はとにかく悪者として扱われがちですが、上述の通り重要な役割がたくさんあります。最近の研究では、脂肪細胞は重要な生理活性物質(ホルモン等)の分泌器官としての役割が確認されています。

 体脂肪率が極端に低すぎる場合は、免疫低下や生理リズムの狂いが生じるリスクも高まります。ご自分がもっとも健康でいられる、そして美的にも満足がいく適性体重と体脂肪率を、意識できるようにしてください。

※記事中に出てくる問題は、日本ダイエット健康協会が実施している「ダイエット検定」より紹介しています。
古谷暢基(ふるや まさき)さん
健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサー
古谷暢基(ふるや まさき)さん 本や雑誌の著者、講演、講師などとして活動する一方、同時にルーシーダットンの代表取締役として、数々の健康・美容ビジネスを仕掛ける。日本ダイエット健康協会代表理事、和ハーブ協会理事長。ダイエット・予防医学のスタンダード知識を発信する検定・資格「ダイエット検定」の受験者数は1万人を突破。著書に『「食べる」だけダイエット』(マガジンハウス)など。
日経ウーマンオンライン2013年10月1日付け記事からの転載です。