皮下脂肪と内臓脂肪、分解されやすいのはどっち?
脂肪の特徴を理解してこそ、ダイエットを成功に導く
古谷暢基=健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサー
答え:(A)
体脂肪はそのつく箇所(脂肪細胞の場所)により、大きく内臓脂肪と皮下脂肪に分けられます。
皮下脂肪とは、表皮の下1~3cmにある皮下組織の脂肪細胞に貯まる脂肪で、全身に分布します。分解しづらく、エネルギー長期貯蔵の役割を持つ体脂肪です。
対して内臓脂肪とは、内臓を包む膜につく脂肪のことをいい、いわゆるメタボリック症候群の原因となる体脂肪です。合成・分解のスピードが速いことが特徴です。
内臓脂肪 | 皮下脂肪 | |
場所 | 内臓を囲む膜 (大網、腸間膜など) | 全身の皮下組織 |
---|---|---|
性差 | 男性につきやすい | 女性につきやすい |
役割 | 短期エネルギー貯蔵、内臓の位置固定 | 長期エネルギー貯蔵、体温保持、外部ショックからの体内組織の保護 |
疾病リスク | 高い (糖尿病や心虚血疾患等の生活習慣病) | 低い (但し、過剰な場合は心臓や膝などの運動器への負担) |
その他 | 分解、合成のサイクルが早い(減らしやすい) | 分解されにくい(減らしにくい)、ホルモン分泌機関としての役割など |
さて、皮下脂肪が女性に貯まりやすく、内臓脂肪は逆に男性に貯まりやすいことには、性ホルモンのはたらきが関係しています。
例えば、女性の生物としての一番重要な仕事は、妊娠・出産して子孫を残すこと。つまり、妊娠時に内臓周辺の脂肪が多ければ、子宮は当然圧迫されリスクや不便が伴うので、お腹につけずにお尻や太ももに落とし、あるいは二の腕まわりに貯蔵脂肪をつけます。
対して男性は妊娠をせず、外に出て長期に渡る狩猟・採取活動をしたり、外敵との闘いが生物的な役割。そのため、四肢や骨格筋まわりに脂肪がつけば機能的に落ちてしまうので、スペースが大きい内臓まわりに、貯蔵・消費サイクルが早い脂肪を蓄えるのです。
逆にいえば、女性ホルモンの分泌が止まる更年期以降は、女性も内臓脂肪がつきやすくなります。
- 次ページ
- 皮下脂肪を落とすには?