やせて見えても体脂肪率30%は「かくれ肥満」
肥満とダイエットの正しい考え方
古谷暢基=健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサー
答え:(B)
人の体重というのは、次の「(1)+(2)」で形成されています。
(1)体組織=体脂肪+筋肉+骨+体液(血液、リンパ液、細胞間液など)+脳+その他の体組織(爪、髪の毛、ホルモンや消化液等)
(2)消化管内にある体組織以外のもの=吸収される前の飲食物+宿便
肥満とは体重が多いことにあらず、(1)の体組織のうちの「体脂肪」が過多な状態を指します(体脂肪はさらに、中性脂肪、コレステロール、脂肪酸、グリセロールに分けられますが、この項では便宜上、“貯蔵型の中性脂肪:主に脂肪細胞内に貯蔵されるもの”とさせていただきます )。
つまり体重が多くても、体組織に占める脂肪の割合、すなわち体脂肪の量が適正ならば、肥満ではありません。
適正値 | 肥満 | ||
男性 | 30歳未満 | 14~20% | 25%以上 |
30歳以上 | 17~23% | ||
女性 | 30歳未満 | 17~24% | 30%以上 |
30歳以上 | 20~27% |
さて、問題の(A)の女性は、現実的にはそう多くは無いとは思いますが(笑)、例えば女子柔道や重量挙げなどのオリンピック選手のような人。体脂肪が適正範囲内なので肥満ではありません。
対して(B)の男性は、体重的には肥満に見えにくそうですが、体脂肪が同年齢の25%を上回っているので、肥満のエリアに入ります。男性にありがちな内臓脂肪が多い体組成に、このようなパターンが見受けられる傾向があります。
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