日経グッデイ

ダイエットにいいのはどっち?

朝と夜、どっちの運動がダイエットに効果的?

自律神経と肥満、ダイエットの深い深い関係について考える

 古谷暢基=健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサー

ダイエットの方法、考え方には諸説ありますが、この連載では、健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサーであり、日本ダイエット健康協会代表理事として『「食べる」だけダイエット』(マガジンハウス)などの著書もある古谷暢基さんに、ダイエットに関する最新の考え方、ノウハウを紹介していただきます。

 肥満というと、「食べ過ぎ」とか「運動不足」という言葉がまず出てきますが、それ以前の問題として「自律神経」の切り替えが大きく関わっていることがわかってきています。

 「自律神経」とは、“無意識に作動する”神経群のこと。血液循環・体温調節・消化活動、その他、人が生命活動を維持するためのシステムをコントロールしている神経であり、交感神経と副交感神経という2系統があります。今回はこの自律神経と肥満、ダイエットの深い深い関係について、学んで行きましょう。

 その前にクイズです。次の問題についてお考えください。

【問題】全く同じ負荷と量の運動、どちらがダイエットに効果ある?

(A)朝、朝食前に行うトレーニング
(B)夜、夕食前に行うトレーニング

 答え:(A)

負荷が同じトレーニングするなら、朝の方がダイエットに効果あり!(©serezniy -123rf)
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 交感神経は「活動・消費」の神経、副交感神経は「休養・吸収」の神経であり、身体に対して正反対の働きを持っています。一方がアクセル役だとすると、もう一方はブレーキ役。アクセルとブレーキを同時に踏むとカラダが壊れるので、どちらかが優位になれば、他方の活動は抑えられます。

 交感神経は心臓を活発に動かし、体温を上げ、エネルギーの分解・消費を促すホルモンや酵素を活性化させます。つまり交感神経が優位の時は基礎代謝が上がり、体脂肪内や肝臓の貯蔵エネルギーを積極的に分解する「エネルギー使用モード」 となります。

 逆に副交感神経の優位時には、心臓の拍動数や体温は下がり、内臓の方に血流を廻して消化・吸収を促進し、貯蔵ホルモンのインスリンやリラックスホルモンの分泌を促します。つまり身体は活動量を抑え、栄養の吸収や体組織の合成に走る「エネルギー貯蔵モード」となります。

 例えば同じ姿勢で座っていたとしても、交感神経優位状態では身体が「エネルギー使用モード」になっているため、カロリー消費量が違ってくるということになります。この積み重ねは侮れません!

 アメリカの肥満研究で有名なジョージ・ブレイ博士によれば、日中の交感神経活動が落ちている人は、同じ食生活をしている人に比べ、明らかに太りやすいというデータが出ています。このような、交感神経のはたらきの低下による肥満者を「モナリザ症候群(Most Obesities kNown Are Low In Sympathetic Activity)」と呼びます。

 ヒトは日中活発に動き回り、夜間休息する「昼行性動物」ですから、昼間は交感神経、夜間は副交感神経が優位になるように出来ています。つまり起床時には、副交感→交感のスイッチが入れ替わるのが、健康な人の状態です。

朝のトレーニングで体をエネルギー消費モードに切り替える

 クイズでは、朝と夜に同じ負荷のトレーニングをした場合のケースを挙げました。正解は、ここまでお読みなればお判りの通り、「朝」。トレーニングにより交感神経に着火することで、早い時間から身体は“エネルギー消費モード”に入るので、その日、同じスケジュール・同じ過ごし方をしたとしても、格段に一日のトータル消費量は上がってきます。

 このリズムでもう一つ重要なメリットは、朝早い時間からの活動モードONによる一日の疲れが、夜のスムーズな副交感神経スイッチへの切り替えをも導くということです(逆に夜の激しいトレーニングは、快眠を妨げる恐れがあります)。休養モードになり睡眠ホルモンが活性化してそのまま睡眠に入れば、翌朝の快適な目覚め→スムーズな交感神経ONを導き、ここに理想的なダイエット・サーカティアンリズムが生まれます。

 自律神経の切り換えの不調は、肥満を招くだけでなく、仕事や学業などのパフォーマンス、免疫などにも大きく影響します。スムーズな切り換えを意識した生活をしましょう。

※記事中に出てくる問題は、日本ダイエット健康協会が実施している「ダイエット検定」より紹介しています。

古谷暢基(ふるや まさき)さん
健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサー
古谷暢基(ふるや まさき)さん 本や雑誌の著者、講演、講師などとして活動する一方、同時にルーシーダットンの代表取締役として、数々の健康・美容ビジネスを仕掛ける。日本ダイエット健康協会代表理事、和ハーブ協会理事長。ダイエット・予防医学のスタンダード知識を発信する検定・資格「ダイエット検定」の受験者数は1万人を突破。著書に『「食べる」だけダイエット』(マガジンハウス)など。
日経ウーマンオンライン2013年9月10日付け記事からの転載です。