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左党の一分

お酒をよく飲む人は風邪をひきにくい?

風邪と飲酒【前編】風邪と飲酒の関係を調べた3つの論文の内容とは

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

日本の研究では、飲む頻度が多いほど風邪をひきにくい結果に

 3つ目の研究は、日本の東北大学のコホート研究「仙台卸商研究」である。899人の中年の勤労者を対象に、過去1年間の風邪罹患の有無と、生活習慣を調査し、生活習慣と風邪罹患の関係を調査した研究だ(BMC Public Health. 2012;12:987.)。

 対象者の55.4%が過去1年間に1回以上の風邪を経験していた。そして、飲酒頻度が高くなるほど、風邪罹患リスクは減少していた。

 「一番風邪をひきにくかったのは『毎日お酒を飲む人』で、次いで『週4~6回』、そして『週3回以下』という結果が得られました。飲む頻度が多いほど、風邪をひきにくい、つまり『お酒を飲む回数が多いと風邪の予防に役立つ可能性がある』という結果になったのです」(大谷さん)

飲酒頻度と風邪罹患リスクの関係(日本の研究)
899人の中年の勤労者を対象に、生活習慣と風邪罹患の関係を調査した結果。一番風邪をひきにくかった人は、毎日お酒を飲む人だった。(BMC Public Health. 2012;12:987.)

 日本の研究からも、飲酒は風邪の予防に役立つ可能性があるという結果が得られていた! そして、お酒を頻繁に飲む人ほど風邪をひきにくい、つまり重要なのは「お酒を飲む頻度」ということだ。スペインの研究でも、ワイン限定とはいえ同様の傾向が確認できている。

なぜ飲酒は風邪の予防に役立つのか?

 では、飲酒が風邪のリスク軽減につながっているのは、どういったメカニズムによるものなのだろうか。

 「スペインの研究では、赤ワインに含まれるポリフェノールが関係しているのではと考察していましたが、東北大学の研究で被験者たちが飲んでいたのはビールや焼酎がメインです。こうしたことを踏まえ、この研究では『アルコールによる身体の一部での体温の上昇』が影響しているのではないかと推測しています」(大谷さん)

 「代表的な風邪の原因ウイルスであるライノウイルスは37℃以上では増殖しづらくなることが知られています。アルコールの血管拡張作用などによってライノウイルスの主たる感染場所である鼻の温度が上がり、増殖が妨げられているのではないかと考えられます」と大谷さんは話す。

 そういえば、自分も含め、周囲の酒豪たちは真冬でもほぼ薄着のような気がするが、それはやっぱりアルコールによる血管拡張効果が影響しているのかも?

 このほか、お酒を飲むことによるストレス軽減効果も関係しているのではないかと大谷さんは話す。

 「イギリスの研究結果で、ストレス度が高い人ほど風邪をひきやすいという結果が出ています。お酒を飲むことでストレスが軽減したこともまた、風邪の発症リスクが低くなることにつながったと考えられます」(大谷さん)

         ◇      ◇       ◇

 これら3つの論文のデータから、アルコールの摂取が風邪の予防に役立つ可能性があるのは確かなようだ。新年早々、お酒の「ポジティブ」な効果をご報告できてうれしい限りである。酒と風邪の“いい関係”が分かったところで、次回は、具体的な対策を紹介していこう。

 先にクギを刺しておくが、いくら風邪の予防になるからといって、飲み過ぎはNGである。では、どういった飲み方がいいのか、気になるところだろう。そこで次回は、大谷さんのお勧めするお酒の飲み方から、酒と一緒に併せてとりたい食べ物、そして大谷さんが実践している日々の風邪予防対策までをご紹介する。併せて読めば今年は風邪知らず!

(図版:増田真一)

大谷義夫(おおたに よしお)さん
池袋大谷クリニック 院長
大谷義夫さん 1963年生まれ。群馬大学医学部卒業。東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、同大学呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授、米ミシガン大学留学などを経て、2009年より現職。日本呼吸器学会専門医・指導医。日本アレルギー学会専門医・指導医。近著に『65歳からの誤嚥性肺炎のケアと予防 9割の人は持病では死なない!』(法研)、『長生きしたければのどを鍛えなさい』(SB新書)、『医師が教える「1日3分音読」で若くなる!』(さくら舎)など。

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