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左党の一分

お酒をよく飲む人は風邪をひきにくい?

風邪と飲酒【前編】風邪と飲酒の関係を調べた3つの論文の内容とは

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

イギリスの研究で、飲酒量が多くなるほど発症率が低いという結果が

 さて、風邪の定義、原因が分かったところで、そろそろ一番知りたい風邪と酒の関係について、さらに深掘りしていこう。

 最も身近な病気とも言える風邪だが、果たして風邪と飲酒の関係を調べた研究などあるのだろうか。「お酒を飲むと風邪をひきにくくなる」などという都合のいい論文があるといいのだが…。

 「論文を調べるのが面白くてたまらない」という筋金入りの“エビデンス・マニア”の大谷さんに尋ねると、こんな返事が返ってきた。

 「実は飲酒と風邪について研究した論文がヨーロッパと日本と合わせて3つあります」(大谷さん)。満面の笑みを浮かべる大谷さんを見て、「これは期待大」と確信した。

 最初の論文は、1990年代前半にイギリスで発表されたものだという。

 1993年にイギリスのコーエンらは390人の健常者に対し、ライノウイルスやコロナウイルスを鼻腔に投与し、その後の風邪の発症や経過を調査した(Am J Public Health. 1993;83:1277-83.)。そこで、喫煙や飲酒、社会心理的ストレスなどの影響を調べている。

 「その結果、投与したウイルスの種類を問わず、ストレス度が大きい人は発症率が高い、喫煙者は発症率が高い、そして非喫煙者は1日当たりの飲酒量が多い人ほど発症率が低いという結果が得られました」(大谷さん)

 下のグラフにあるように、非喫煙者では、飲酒量が多くなるほど発症率が低くなっていることが分かる。ここでの飲酒量「1ドリンク」は、ワイングラス1杯に相当するものだ。飲酒量ゼロの人の風邪発症率はおよそ45%なのに対し、飲酒量が1日当たり「1.1~2ドリンク」で発症率は約30%、飲酒量「2ドリンク以上」で発症率は約15%となっている。

飲酒量と風邪発症率の関係(イギリスの研究)
390人の健常者を対象に風邪のウイルスを鼻腔に投与し、その後の風邪の症状の発症や経過を調査した結果。非喫煙者はアルコールの摂取量が多くなるほど風邪発症率が低くなった。(Am J Public Health. 1993;83:1277-83.)

 おお!! 初っ端(しょっぱな)からうれしい報告である。

スペインの研究からはワインの効果が示唆される結果に

 次に、大谷さんが紹介してくれたスペインの研究は、スペイン国内の5つの大学の教員4272人を対象に10年間追跡したコホート研究で、風邪の発症と、日常生活におけるアルコール飲料の種類、飲酒頻度、飲酒量との関係を調べようとしたものだ(Am J Epidemiol. 2002:155;853-8.)。

 「調査によると、教職員4272人は、1人当たり年に1.4回風邪をひきました。非喫煙者を対象に、『お酒を飲まない人』と比べると、『ワイン(赤白両方含む)を週に14杯以上飲む人』の発症リスクは約60%でした」(大谷さん)

 下のグラフは、非喫煙者を対象とした、ワインの飲酒量(週当たりの飲酒量:グラス換算)と風邪の罹患リスクの関係を示したものだ。ここでは飲酒量が増えるほどリスクが減少していることが分かる。

ワインの飲酒量と風邪発症リスクの関係(スペインの研究:非喫煙者)
スペインの大学の教職員4272人を10年間追跡したコホート研究の結果。ワイン(赤白両方含む)の摂取量(杯)が多い人ほど、風邪の発症リスクは低くなった。なお、この研究では、喫煙・非喫煙を含めた全体で見ても、ワインの飲酒量が増えるほどリスクが減ることが確認されている。(Am J Epidemiol. 2002:155;853-8.)

 スペインの研究でも、お酒をよく飲む人のほうが風邪をひきにくいという結果になったわけだが、これはワインについてのもの。ビールやスピリッツなどについては、同様の傾向は確認できていない。

 この研究では、ワインの中でも、特に赤ワインの効果が高いという結果が出ている。「お酒の種類の比較をした結果では、ワインの中でも赤ワインが最もリスクが低くなっています。飲酒量を補正した結果では、ワイン全体のリスクが56%なのに対して、赤ワインでは39%になっています(いずれも週14杯以上:喫煙者・非喫煙者含む全体)。この結果から、この論文では『赤ワインに多く含まれるポリフェノールの抗酸化作用により、ウイルスの増殖が抑制されているのでは』と考察しています」(大谷さん)

 なるほど、スペインの研究では、お酒の中でもワイン(中でも赤ワイン)の効果が示唆される結果となっているわけだ。

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