せっかく筋トレをしても、直後にお酒を飲んでしまうと、その効果が台無しになる…。トレーニング後の飲酒を楽しみにしていた酒好きな人にとって衝撃的な事実を、立命館大学スポーツ健康科学部教授の藤田聡さんから聞いた。それでは、筋肉を増やすなら、どのようにたんぱく質をとるのがいいのか、酒のつまみなら何がいいのか、引き続き藤田さんに教えてもらおう。

アルコールは筋肉の合成に影響を及ぼし、筋トレ後に酒を飲むと筋トレの効果が台無しになる。
前回分かった衝撃的な事実は、筋トレラブの酒飲みにとって、かなりショックだったのではないだろうか。立命館大学スポーツ健康科学部教授で、『眠れなくなるほど面白い 図解たんぱく質の話』などの本を監修している藤田聡さんは、「筋トレを行うと、筋肉の合成を高めるスイッチとなるmTOR(エムトール)という酵素が細胞内で働きますが、筋トレ後にアルコールを飲んでしまうと、このmTORの作用が抑制され、筋肉の合成率が3割程度も減るという研究があります」と話す。
ただし、藤田さんも実践している、「朝に筋トレを行って、夜にビール1缶程度なら許容範囲」というやり方は、量こそ少ないけれど救いになった…、はず。
筆者は、藤田さんに取材して以降、筋肉の合成が高まっている筋トレ直後に酒を飲むのはやめた。そして、すっかり“朝トレ派”となったのだが、筋トレ後、汗を拭きながらプロテインを飲んでいて、ふと思った。
「当たり前のように筋トレ後にプロテインを飲んでいるけど、これでホントにいいのだろうか? また、日頃の食事では何を食べればいいのか、そして酒と合わせるつまみには何をチョイスするといいのだろうか?」と。
そこで前回に引き続き、しっかりと筋肉をつけるためのたんぱく質の話を藤田さんに伺おう。
筋肉の水分以外は80%がたんぱく質
まずは、たんぱく質の基本的なことを、改めて藤田さんから教えていただこう。先生、筋肉と言えば「たんぱく質からできている」ということは知っていますが、私たちのカラダの中で、たんぱく質はどんな役割を担っているのでしょう?
「体を作る筋肉、皮膚や髪、内臓などの組織、ホルモン、酵素などは、ほぼたんぱく質を材料として作られていて、特に筋肉においては、水分以外の約80%がたんぱく質によって構成されています。また、筋肉のたんぱく質は緊急時に分解されてエネルギー源としても使われることがあります」(藤田さん)
カラダの大部分はたんぱく質からできているということか。たんぱく質がいかに大切かが分かる。また、たんぱく質は気を付けていないと不足がちになる、とも聞く。やはり毎日とるべきなのだろうか?
「はい、毎日摂取する必要があります。食事などで取り込まれたたんぱく質は、アミノ酸へと分解され、体の各部位でたんぱく質に再合成されます。体内では、たんぱく質の合成とアミノ酸への分解が常に行われており、またアミノ酸の一部は燃焼されたり排泄されたりしてなくなるので、たんぱく質を毎日新たにとらなくてはならないのです」(藤田さん)