おいしさを追求してアルコール度数は「4%」
聞くほどに、ハイテク! そんな技術が生かされたビールが生まれるなんて、少し前では考えられなかった。
スーパーハイテクのたまものであることが分かったところで、やっぱり気になるのは「お味」である。ビール好きにおいしく飲んでもらうために、どんな工夫をしたのかを廣政さんに伺った。
「先ほどもお話ししましたが、ビールの糖質を旨味ととらえる方もいらっしゃいます。糖質ゼロはその一要素をなくすこと。ではどこにおいしさを持っていくのかと考えたとき、“一番搾り製法”は欠かせないと思いました。通常、ビールは一番搾りに加え、二番搾りも使います。これに対し、一番搾り製法とはビールの製造工程において、主原料の麦から最初に流れ出る一番搾りの麦汁だけで作ることを指します。これにより、素材の良さを最大限に生かした、雑味のない、澄んだ麦の旨味にあふれた味を実現できたのです」(廣政さん)
そして5年もの年月をかけてできあがったのが、「一番搾り 糖質ゼロ」である。アルコール度数は4%。「おいしさを追求した結果、4%にたどり着きました」と廣政さん。月に一度はビールを飲むというユーザーに事前調査を行った結果、「飲みやすい」「ちょうどいい」という回答が94%の方から得られたという。
さっそく、筆者も「一番搾り 糖質ゼロ」を飲んでみた。実は半信半疑な面もあったが、キリリッとした爽快感の中に麦芽本来の旨味を感じ、ほど良い飲みごたえが「ビールを飲んだ」という満足感を与えてくれる。糖質ゼロではない従来のビールと比べると、ややライトな飲み心地だが、糖質ゼロのハイボールに切り替えてから長い筆者にとってはちょうどいい。重すぎず、軽すぎずといったふうである。
後口の良さがまた秀逸。揚げ物や、脂の多い肉を食べる際に一緒に飲むと、箸が進みそうだ。
売り上げが伸びる糖質オフ&ゼロ商品
Go Toトラベルキャンペーンのスタートや、イベント緩和の動きはあれど、まだまだ家飲み派が多いコロナ禍。糖質ゼロビールは絶対に需要があると確信した。コロナ太りによって健康志向が高まっていることも間違いない。
実際、同社における糖質オフ&ゼロ商品の売り上げは、「淡麗グリーンラベル」が前年比104%、「淡麗プラチナダブル」が106%、「のどごしZERO」が111%と、軒並み増加している(2020年1~7月)。
また初の糖質ゼロビールとなれば、オンライン飲み会でも話題になりそう。今までビールを飲みたくても我慢していた酒好きが、糖質のとりすぎを気にせずに飲めるというのもうれしい。開発者の廣政さんにとっても、それは大きな喜びのようだ。
「お酒のメリットはコミュニケーションが円滑になったり、リラックスすること。これまで糖質を気にされていた方も、適量を守りつつ、さらに気兼ねなく飲んでいただけたらうれしいです」(廣政さん)
コロナによる健康志向の高まりによって、ハイボールに“浮気”していた往年のビール党が帰ってくるかもしれない。筆者も「お風呂上がりのビール」が復活となりそうだ。
(図版制作:増田真一)
