酒飲みの体ケアと言えば、一に「メタボ予防」、二に「休肝日」…。そう、肥満と肝臓をしっかりケアしておけば大丈夫だと考えている中で、うっかり見過ごしがちなのが、普段あまり聞きなじみのない「膵臓」という臓器。最近では、有名お笑い芸人らが、「急性膵炎」を発症したとの話が、ニュースやブログなどでも話題になることもある。そんな膵臓とはどんな器官なのか。酒との関係について取材を進めていくと…。
左党の多くが体の中でいちばん気をつけている部位といえば、アルコールをせっせと分解してくれる働き者の肝臓ではないだろうか。社内健診や人間ドッグなどでの血液検査の結果で、真っ先にチェックするのは、「γ-GTP」や「ALT」といった肝機能を示す数値だろう。
大好きな酒を我慢して抜く「休肝日」も、その名の通り肝臓を思いやるため。「肝臓さえ大事にしていれば大丈夫」と信じているかもしれないが、実は肝臓と同じくらい、いや、それ以上とも言えるほど気をつけなくてはいけない臓器がある。それが今回取り上げる膵臓だ。肝臓と同様、「沈黙の臓器」と呼ばれ、消化に関わる大事な役割を成している。
今回は、東京女子医科大学消化器内科・清水京子准教授にアルコールと膵臓の関係について、お話をうかがった。
膵臓はメタボや糖尿病にも関連する重要な臓器
「膵臓の主な機能は2つあります。1つはたんぱく質、脂質、糖質を消化する酵素を分泌する『外分泌機能』、もう1つはインスリンやグルカゴンといった血糖値のコントロールに寄与するホルモンを分泌する『内分泌機能』です」(清水准教授)
昨今、低糖質ダイエットなどが話題となり、そのキーワードとなる「インスリン」に聞き覚えのある方もいるのではないだろうか。また、メタボリックシンドロームなどに関連が深い2型糖尿病に罹患した人が、血糖値をコントロールするために自ら注射を打つあの中身もインスリンである。ほかの臓器と比べ、膵臓はなじみが薄いかもしれないが、実は私たち左党にとって、身近な肝臓や胃腸をはじめとする臓器と並んで、消化器系の中で重要な役割を担っているのだ。