日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > ダイエット・食生活  > 左党の一分  > お酒は血糖値を上げるのか、それとも下げるのか  > 5ページ目
印刷

左党の一分

お酒は血糖値を上げるのか、それとも下げるのか

お酒と血糖値【前編】アルコールは血糖値の敵ではなかった!

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

 3つ目の実験では、糖質(マッシュポテト)を摂取する1時間前に、水と前出のお酒を摂取した場合に、血糖値がどう変化するかを検証している(下の実験3)。この結果、水以外のアルコールは全て血糖値の上昇が水より低いという結果になった。

<実験3>食事前にお酒を飲むと血糖値が上昇しにくい
それぞれの飲料を飲んだ1時間後にマッシュポテトをとった。食事前にビールを飲んだときに最も血糖値上昇が抑えられた。
* AUC(血糖上昇曲線下面積、単位はmmol/L・min)は時間経過にともなう血糖値増加量の面積のことで、血糖値上昇を比較するための指標。

 山田さんはこの結果について、「これらの実験結果には説明がつかない部分もいくつかありますが、少なくとも、パンなどの糖質が多い食品とアルコールを一緒に飲むと、食べ物単体で食べるよりも血糖値の上昇が抑制されました。つまり、食事と一緒にお酒を飲むと血糖値の上昇は抑えられる、と言えます」と話す。

 おお! これは左党にとって、何ともうれしい実験結果ではないか! 糖質を単体で摂取するよりも、アルコールと一緒にとったほうが、血糖値が上がりにくいという結果は、食後高血糖を気にする左党にとってはビッグニュースである。

アルコールはどうして血糖値の上昇を抑えるのか

 アルコールが血糖値を下げる仕組みについては、現時点では詳しいメカニズムは分かっていないとのことだが、以下のような要因が考えられると山田さんは話す。

 「あくまで私の仮説ですが、アルコール分解のプロセスで多く使われるNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)という補酵素が関係しているのではないかと考えられます」(山田さん)

 「NADが少なくなると肝臓における『糖新生』が抑制されます。糖新生の抑制が食事だけでは十分でないという人であっても、アルコールをとったときにはNADが少なくなるため、糖新生を十分に抑えられるのではないかと考えられます(※糖新生は、血糖値が下がらないように新たに糖を作り出すシステム。実は肝臓は24時間、常に糖新生を行っていて、食後だけ糖新生の速度が落ちるようになっている。この速度低下のためのホルモンがインスリンであるが、インスリン作用が悪い人では糖新生速度の低下が不十分で、食後高血糖になりやすい)」(山田さん)

         ◇        ◇        ◇

 現時点でメカニズムは解明されてはいないものの、山田さんの「アルコールが血糖値の上昇を抑えることは確か」という一言が左党には何よりありがたい。これで大手を振ってお酒が飲めるというものだ。

 「血糖値にとってアルコールは敵ではない」と分かって一安心したところで、前編はここまで。後編では、食後血糖値を上げないための具体的な飲み方、お酒の選び方を山田さんに聞いていこう。

(図版:増田真一)

山田 悟(やまだ さとる)さん
食・楽・健康協会代表理事 北里大学北里研究所病院糖尿病センター長
山田 悟さん 1970年東京都生まれ。日本糖尿病学会糖尿病専門医。日々、多くの患者と向き合いながら、食べる喜びが損なわれる糖尿病治療においていかにQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げていけるかを研究する。患者の生活の質を高められる糖質制限食に出合い、積極的に糖尿病治療に取り入れる。2013年に、一般社団法人「食・楽・健康協会」を立ち上げる。著書『糖質制限の真実』(幻冬舎)ほか多数。
酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方

先頭へ

前へ

5/5 page

飲酒
糖尿病
キーワード一覧へ
日経グッデイ初割キャンペーン

RELATED ARTICLES関連する記事

ダイエット・食生活カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 始めよう筋トレ 最低限やりたいエクササイズと食生活のポイント

    筋トレはできるだけ若いうちに始めることに大きなメリットがあるといわれる。それはなぜなのか。また、どんな筋肉をどのように鍛えるのが効果的なのか。高齢になってもしっかりした足腰でいるために今のうちから最低限やっておきたい筋肉エクササイズ、食生活の注意点などを知り、今年こそ「筋トレ習慣」を身に付けよう。

  • 第3波を乗り切るためのコロナ対策

    新型コロナウイルスの新規感染者が再び急増し、日本は今、流行の第3波を迎えている。今後さらに気温と湿度が下がると、ウイルスの生存により適した条件が整うようになる。これ以上の流行拡大を防ぐためには、1人1人が感染予防策を改めて見直し、感染リスクの高い行動を避けて生活することが不可欠だ。第3波を乗り切るためのコロナ対策を、もう一度まとめた。

  • 寝たきり予備軍「フレイル」を防ぐためにできること

    老化を防ぎ、健康寿命を延ばすためには、加齢により心身が衰えた状態である「フレイル」の予防が必要になる。フレイルは、健康な状態と要介護状態の中間に当たるが、これを避けるために特に重要なのが「筋肉量の維持」だ。筋肉量が減少すると、足腰が弱くなって寝たきりにつながるだけでなく、認知症や心疾患のリスクが上がることも分かってきた。筋肉量を維持し、フレイルを防ぐために何をすればよいだろうか。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設 日経Gooday初割キャンペーン

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.