
ひー! 免疫が下がって、肺炎のリスクが増えるって、これはもう、アフター・コロナの酒との付き合い方を全面的に見直さなければならないだろう。
「さらに、こういう論文もあります。肺炎などがきっかけとなって重度の呼吸不全をきたす病気のことを、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)というのですが、慢性的な高アルコール摂取は、ARDSのリスクを1.89倍に増加させることが分かりました(Chest. 2018;154(1):58-68.)。ARDSのリスクが高いということは、新型コロナウイルスに感染した場合に、急速に呼吸不全に陥るリスクも高いといえるかもしれません」(吉本さん)
なんと…。報道などから、新型コロナウイルス感染症では、急に症状が悪化し、あっという間に亡くなってしまう場合があるという印象を持っていたが、飲酒量が多くなると、そのリスクも高まる恐れがあるというのか…。
「アルコールによる免疫力の低下によって、感染症や全身性炎症を含む、さまざまな疾患のリスクを高めるという報告もあるので注意が必要です。もともとアルコールは、がんをはじめとする多くの病気に罹患するリスクを高めることが分かっています。コロナをきっかけに多量飲酒が習慣になってしまうと、今は大丈夫でも、やがて何らかの病気にかかってしまう恐れがあるのです」(吉本さん)
「ヒマ」があるから酒量が増える
しかし、我々のような酒好きにとって、「飲むな」と言われても、それはもう蛇の生殺しでしかない。
先生、何かいい方法はないものでしょうか?
「お酒が好きな人にとって、お酒をやめることは難しいと思うので、まずは減らす方向で考えてみてはどうでしょう? いの一番にやることは、ヒマを作らないことです。ヒマな時間があると、ついたくさん飲んでしまいますから。散歩やヨガ、ドラマを見るなどして時間をつぶし、晩酌の時間を短くするだけでも違いますよ」(吉本さん)
なるほど。晩酌の前後に何か時間がつぶせる活動を入れることで、酒を飲む時間を減らすということか。吉本さんのアドバイスを受け、筆者も夕食後にウォーキングをすることにした。飲み過ぎるとウォーキングどころではなくなるので、自然と酒量が抑えられ、なかなかいい感じである。
「私の患者さんのなかには、お酒を飲む前にご飯を食べてお腹をいっぱいにするという方もいます。満腹だとお酒があまり入らなくなるそうです。またお酒を飲む際に水を飲むことも有効です。水でお腹が膨れるだけでなく、血中アルコール濃度も下げられますし、さらにはアルコールによる脱水も防ぐことができます」(吉本さん)
確かに、満腹のときはそんなにたくさん飲めなくなる。水同様、すぐに実践できそうだ。