暑い日が続くこの季節にぴったりなワインといえば、白ワインやスパークリングワインだろう。しかし、ワインの健康効果というと、赤ワインばかりクローズアップされ、白ワインの影は薄い。ブドウから作られたお酒なのだから、ある程度の健康効果を期待したいところだが、実際のところはどうなのだろうか。今回は、ワインの醸造と健康効果の研究に取り組んできた山梨大学ワイン科学研究センター客員教授の佐藤充克さんに白ワインの健康効果を聞いた。

すっかり日本の食卓酒として定着したワイン。私自身、日本酒、本格焼酎が専門なだけに、ワインの知識はあまりないものの、ワインは日常的に飲む。
私は赤よりも白派、さらにはスパークリング派である。冷蔵庫には必ずと言っていいほど白かスパークリングが冷えている。厳しい暑さが続く今の季節は、キリッと冷えた白ワインが最高。さらにはスパークリングからスタートするならなお良し。蒸し暑い日に仕事から帰って、シャワーを浴び、スパークリングのハーフボトルをゴキュゴキュと喉を鳴らして飲むのは至福のひと時である。
近年の日本のワインの消費量を見てみると、2017年のワインの出荷数量は10年前の約1.5倍となっており、ほぼ右肩上がりで伸びている(詳細はこちら)。20年くらい前に大ブームになったときのように、ニュースで騒がれるようなことはないが、着実に消費は伸びているのだ。
また昨今、日本ワインも人気だ。雑誌などでも特集が組まれているし、レストランや酒店などでも見かける機会が増えたように思う。実際、2018年3月時点での国内のワイナリー数は303と、前年より20も増えているという(国税庁の調査による)。日本産のワインが海外で高い評価を得ることも出てきており、ますます期待ができそうである。
夏にピッタリの白ワインだが、健康効果は?
さて、暑い季節にピッタリの白ワインだが、健康効果という点ではこれといった話をあまり耳にしたことがなく、赤ワインに押されて、ちょっと影が薄いように思う…。本コラムでも以前に取り上げたが(こちらの記事)、「健康にいいワインといえば赤ワイン」という印象が強い。詳しくは赤ワインの回をご一読いただければと思うが、赤ワインは抗酸化作用を持つポリフェノールを豊富に含み、動脈硬化などを防ぐ効果が期待されるほか、認知症の予防効果、さらには寿命を延ばす可能性があるという報告があるなど、健康効果は盛りだくさんだ。
それに比べ、白ワインときたら赤ワインほど、派手にスポットライトが当たったことがない。白ワイン派としては、何としても赤ワインに負けないような健康効果があるか探ってみたいものである。
また、私が白ワイン派なのは、味の好みもさることながら、なぜか赤ワインを飲むと、翌日に残ったり、ひどい頭痛になることが多いということがある。白ワインやスパークリングワイン、それに、本格焼酎や日本酒などを飲んでも頭痛に悩まされることは、飲み過ぎない限りまずない。なぜか赤ワインを飲んだときに起こる。「私は赤ワインとは相性が悪いのかな」くらいに思っていたのだが、周囲の左党に聞いてみると、決して多くはないが、筆者と同じような症状を持つ人がいるではないか。これは何か理由があるのだろうか。長年抱くこのナゾについても解明したいと思っている。
そこで今回は、白ワインの健康効果、そして赤ワインと悪酔いの関係について、メルシャン酒類研究所を経て、山梨大学ワイン科学研究センターでポリフェノールの研究を行っている佐藤充克さんに話を伺った。