日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > ダイエット・食生活  > 左党の一分  > 「お酒はエンプティカロリーだから太らない」は間違いだった!  > 2ページ目
印刷

左党の一分

「お酒はエンプティカロリーだから太らない」は間違いだった!

アルコールの「エンプティカロリー説」の真偽に迫る

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

アルコール由来のエネルギーは優先的に使われる?

 糖質の有無に関係なく、酒と名前が付くものは太る。

 何という衝撃的な言葉なのだろう。「糖質が気になるからビールをやめてハイボールに変えた」という酒飲みは少なくないはず。

 だが、アルコール由来のカロリーは代謝されやすいので太りにくいのでは?

 「太るメカニズムは複雑で、簡単に断言はできませんが、アルコール由来のカロリーでは太りにくいという説があるのは、アルコールが分解されるときの中間生成物が酢酸であるためかもしれません。酢酸は短鎖脂肪酸に分類されるのですが、これは近年『体に脂肪がつきにくい』健康オイルとして注目されているMCTオイルに多く含まれる中鎖脂肪酸よりも、さらに分解しやすい脂肪酸なのです」(久住さん)

 久住さんによると、アルコールを摂取すると、1~2時間のうちに小腸などで吸収され、肝臓などで分解される。その中間生成物である酢酸が、筋肉などで最終的に炭酸ガスと水に分解されるときに熱エネルギー(アルコール1g当たり7.1kcal)が放出されるという。

 「確かに短鎖脂肪酸は、通常の油に多く含まれる長鎖脂肪酸よりも消費されやすく、体内で優先的に使われるかもしれません。しかし、それで『太らない』と言えるかというと、難しいでしょう。短鎖脂肪酸もエネルギーを有していて、とればとっただけエネルギー過多になります」(久住さん)

「少量の飲酒でも太る」という研究報告も

 それでは、どれぐらいの量を飲めば肥満につながるのだろうか。飲み過ぎれば太るのは分かるが、「ここまでの量ならセーフ」という“適量”があればうれしい。

 「世界各国のさまざまな肥満に関する研究結果をまとめた論文(*1)では、少量から中程度の飲酒では結果がまちまちで、過度の飲酒はおおむね体重増加につながる、と結論づけています。しかし、少量の飲酒でも体重増加につながるという研究結果が、2020年9月にオンラインで開催された欧州国際肥満学会(*2)で報告されました」(久住さん)

 少量でも太る……。もしそれが本当なら、左党にとって大ピンチである。

 「この研究によると、1日当たり缶ビール(355mL)半分以上のアルコール摂取で、肥満やメタボリックシンドロームのリスクが高まったそうです。特に男性では顕著で、1日ビール半缶超~1缶以下のアルコールをとる男性は、非飲酒者と比べて肥満のリスクが1.1倍。1缶超~2缶以下では肥満のリスクが1.22倍、2缶超では肥満のリスクが1.34倍でした。これは韓国の20歳以上の約2700万人のデータを解析した結果です。同じ東アジア人を対象とした研究なので、示唆に富んでいますよね」(久住さん)

*1 Curr Obes Rep. 2015; 4(1): 122–130.
*2 欧州国際肥満学会のニュースリリース

アルコールで食欲が増進する可能性も

 飲み過ぎがよくないのは仕方ないとして、少量でも太る可能性があるとは、ショックだ。

 それでは、なるべく太らないようにするには、どのような酒を選べばよいだろうか。最近は発泡酒をはじめ、ビールやチューハイでも「糖質ゼロ」をうたった商品が発売されている。特に甘い酒が恋しくなったときは、糖質ゼロのフルーツ味のチューハイを手にしてしまうのだが……。

 「糖質ゼロであれば、確かにその分、カロリーは少ないと言えます。ただ、人工甘味料で味をつけた甘いお酒は要注意です。人工甘味料の種類によっては、飲んだときに膵臓が『糖が入ってきた』と勘違いして、インスリンを分泌してしまいます。インスリンの分泌量が増えれば、結果として血糖値が下がり、空腹感を覚えるので、何か余計に食べたりすることにつながってしまうリスクがあるのです」(久住さん)

 太りたくないからと人工甘味料の酒を飲んで、それが食べ過ぎにつながってしまっては本末転倒である。また、久住さんによると、ほかにもアルコールが原因で食べ過ぎになるケースがあるという。

 「アルコールによって食欲が増進するという説があります。詳しいメカニズムはまだはっきりとはしていませんが、動物実験のレベルでは、アルコールによって食欲を促進する脳細胞が刺激され、空腹でもないのに食欲が高まるという報告があります(*3)」(久住さん)

 飲み過ぎた翌日は空腹感が強くなり、またハンバーグやラーメンといったハイカロリーなものが恋しくなる。これも体に残ったアルコールのせいなのだろうか。

 「ほかに、アルコールを飲み過ぎて食欲などを司る大脳皮質が麻痺すると、飲む量や食べる量に歯止めがききにくくなります。そういう失敗の経験がある方も多いのではないでしょうか」(久住さん)

*3 Nature Communications. 2017; volume 8, Article number: 14014.
酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方
飲酒
肥満・ダイエット
キーワード一覧へ

RELATED ARTICLES関連する記事

ダイエット・食生活カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

  • もの忘れと認知症の関係は? 認知症リスクを下げる生活のポイント

    年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うもの。しかし、「名前が出てこない」「自分が何をしようとしたのか忘れる」といった“もの忘れ”は、中高年になると誰もが経験する。⾃分は周りと比べて、もの忘れがひどいのでは? ひょっとして認知症が始まったのか? と不安になる人も多い。このテーマ別特集では、もの忘れの原因や、将来の認知症にどうつながるのか、認知症を予防するにはどうすればいいのかについて、一挙にまとめて紹介する。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.