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左党の一分

酒のトラブルや健康が不安な人に、病院で「減酒」という新たな選択肢

“断酒が前提”だったアルコール依存症治療にも大きな変化が

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

 このグラフを見ると、健康を気にして受診する人も多いことが分かる。確かにそれはそうだろう。アルコールの飲み過ぎは健康をむしばむことは言うまでもない。多量の飲酒は命に関わる問題でもある。

 私の仕事関係者でアルコール依存症だった人は、自分では依存症という自覚はなく、彼の妻が病院へ連れて行き治療を受けていた。断酒のストレスに耐えられず、再び多量飲酒をしてしまい、帰らぬ人になってしまった。あのとき、もし減酒外来があったら、酒量をうまくコントロールして、今も元気にしていたかもしれない。

減酒外来の受診で、飲酒量は有意に減少した

 では、減酒外来では具体的にどんな治療を行っていくのだろう? そして受診者の飲酒量はどうなったのだろうか。

 「最初に家族構成、飲酒歴、また希望するお酒との付き合い方についての質問票に答えていただきます。血液検査、尿検査、骨密度検査をはじめとする身体的な検査も行います。本人の飲酒問題のレベルを判定した上で、今後のお酒との付き合い方を話し合っていきます。酒量は、先に述べたように本人と医師で相談して決めていただきます」(樋口さん)

 健康面では適量(アルコール換算で1日20グラム)がベストなのは分かるが、これまでアルコールにして100グラム飲んでいた人が、いきなり20グラムにするのは難しいので、無理のない目標設定が基本となる。

 減酒外来を半年間継続した患者の飲酒量の変化を見たところ、初診の3カ月後、6カ月後で飲酒量は有意に減少した。初診時は直近1週間の飲酒量は平均310グラム(アルコール量)だったものが、6カ月後には180グラム程度まで減っている。また、1日60g以上飲んだ大量飲酒の日数も有意に減少したという。

           ◇      ◇      ◇

 現在、減酒外来は久里浜医療センターの他、茨城県の北茨城市民病院が開始するなど広がりを見せているものの、残念ながら「身近にある病院で気軽に受診する」という状況には程遠い。ただ樋口さんが言うように、今後、状況は変わっていくだろう。

 WHOの2018年の報告によると、毎年300万人もの人がアルコールの有害な使用により亡くなっているという。これは世界の全死亡数の5.3%にあたる。この数パーセントにカウントされないためにも、減酒外来という選択肢があることを心に留めておいてほしい。

 来月公開の次回では、「飲酒量を低減する」という新薬について樋口さんに話を聞いていく。

樋口 進(ひぐち すすむ)さん
独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長
樋口 進さん 1979年東北大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部精神神経科学教室に入局、1982年国立療養所久里浜病院(現・国立病院機構久里浜医療センター)勤務。1987年同精神科医長。1988年米国立衛生研究所(NIH)留学。1997年国立療養所久里浜病院臨床研究部長。副院長を経て、2012年から現職。日本アルコール関連問題学会理事長、WHOアルコール関連問題研究・研修協力センター長、WHO専門家諮問委員(薬物依存・アルコール問題担当)、国際アルコール医学生物学会(ISBRA)前理事長。
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