日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > ダイエット・食生活  > 左党の一分  > 酒のトラブルや健康が不安な人に、病院で「減酒」という新たな選択肢
印刷

左党の一分

酒のトラブルや健康が不安な人に、病院で「減酒」という新たな選択肢

“断酒が前提”だったアルコール依存症治療にも大きな変化が

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

酒量が多い左党の中には、「自分はアルコール依存症では…」あるいは「飲み過ぎで体が心配…」という人も少なくないだろう。だが、酒を断つのは難しい――。そんな人が実現したいと思っているのは、飲酒量を減らす「減酒」ではないだろうか。今、依存症治療において「減酒」が注目されている。2017年には久里浜医療センターが「減酒外来」を開始、さらに今年3月には「減酒」をサポートしてくれるという新薬も登場した。今回は久里浜医療センター院長の樋口進さんに減酒治療の現状を聞いた。

飲み過ぎを気にしている人なら、できれば「減酒」を実現したいと思っているだろう。しかし、言うはやすしで、なかなか実現できないのが減酒だ。(c)Roman Iegoshyn-123RF

 「もしかして、自分はアルコール依存症なのではないか…?」

 普段から酒量が多めの左党であれば、こんな不安を抱いたことが一度はあるはず。かくいう私も一人暮らしを始めたばかりの20代後半に、「このままいったら間違いなくアルコール依存症になる…」とおびえながらも、日常的に多量飲酒やブラックアウト(酩酊して記憶が消えてしまう状態)を繰り返していた。

 肝機能、体力ともに衰えたアラフィフになった今はすっかり酒量も減り、そんな不安はないが、意外にも私の周囲にいる40~50代の左党たちは「アルコール依存症かも…」と不安を抱く人が少なくない。

 酒販店に勤務する40代の知人は、二日酔いの翌日で調子が悪くても、「夜のとばりが下り、街にネオンが灯る頃になると、無意識にビールの缶をカシュッと開けている」という。そして飲み出すと調子が悪かったのも忘れ、再び泥酔し、二日酔いになるまで飲んでしまうことが多いのだそう。翌朝、就業時間に遅れたりすることはないが、得意先で「酒臭い」と嫌な顔をされることはしばしば。これまた得意先の親しい人から「アルコール依存症なんじゃないの?」とからかわれ、「襟を正さねば」と心では思っていても実行に移せていない。

 また彼の場合、γ-GTPやALTといった肝機能の数値も芳しくなく、医師からも再三注意を受けている。しかし「一般の内科は受診できても、アルコール依存症の専門病院は怖くて受診できない」と話す。「久里浜医療センター(*1)に行ってみたら?」と言うと、「久里浜医療センターは“最後の砦”というイメージがある。今の自分の状態からして、絶対に『断酒』を勧められそうで…」と思い切り拒絶されてしまった。

*1 アルコール依存症をはじめとした各種依存症の専門治療を中心とした病院(独立行政法人国立病院機構に所属)。1963年に日本で初めてアルコール依存症専門病棟を設立、アルコール問題に関わる医療で日本をリードする病院。2012年に、名称を「久里浜アルコール症センター」から現在の「久里浜医療センター」に変更。

 確かに彼が言う通り、アルコール依存症という診断結果が出た途端、「二度と酒を飲めない(=断酒)」というイメージがある。『上を向いてアルコール』(ミシマ社)の著者で、自身もアルコール依存症を経験した小田嶋隆さんと対談した際(詳しくはこちら)に伺った「アルコール依存症の患者が酒をやめているのは、坂道でボールが止まっているような状態。再び飲み出すと坂道をボールが勢いよく転がるように、すぐに元の状態に戻ってしまう。だから二度と口にしない」というエピソードが、それを物語っている。

 左党が断酒するのは、まさに断腸の思い。彼のように酒販店勤務ともなると、仕事にも影響が出ないとも限らない。しかしさまざまな不安を抱えたまま、このまま放置していると、いつか健康を害し、さらには社会的に四面楚歌になってしまうのではないかと心配している。

 そんな思いを抱きながら迎えた今年の1月、お酒と健康に関するニュースをウォッチしている私は興味深い記事を目にした。それは、「減酒」の薬が日本で発売されるというものだ(※薬の発売は3月。こちらは3月の日経新聞の記事)。

 健康を気にしながら飲んでいる人の多くが実現したいと思っているのが「減酒」だろう。断酒でなく、減酒であれば、敷居はグンと低くなる。とはいえ、言うはやすしで、なかなか実現できないのが減酒。正直なところ私は、「酒飲みは飲み出すと止まらないもの。特に依存症が疑われるようなレベルの人が減酒をするのはまず無理」とずっと思っていた。だからこそ、先ほどの小田嶋さんの話にも心底納得したものだ。

 減酒といえば、これまで当コラムの取材で何度もお世話になっている久里浜医療センターが、酒量を減らすのが目的である「減酒外来」を2017年に開設している。院長の樋口進さんに取材した際、この減酒外来の話を聞いて以来、一度詳しい話を聞きたいと思っていた。そこで今回は、減酒治療について樋口さんに話を聞いた。(※減酒薬については次回詳しく紹介します)

酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方

1/4 page

最後へ

次へ

RELATED ARTICLES関連する記事

ダイエット・食生活カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 宴会で「尿酸値・血糖値・中性脂肪」を上げない賢い飲み方

    年末年始や年度の変わり目など、宴会が増える季節に、楽しくお酒を飲みながらふと頭をよぎるのが、「体重の増加」と「気になる検査値への影響」ではないだろうか。暴飲暴食が続くとさまざまな検査値に影響が及ぶ。今回は、働き盛りの世代に身近な「尿酸値」「血糖値」「中性脂肪」を上げないための、宴会での上手な飲み方・食べ方のコツをまとめた。

  • 青魚のDHAやEPAで、血管を若返らせて、メタボも抑制!

    サバ、イワシなどの「青魚」の健康効果が注目されている。青魚にたっぷり含まれるDHAやEPAは、血管を若返らせ、メタボを抑制したり、認知症のリスクを下げる効果も期待できる。手軽に食べられる「サバ缶」や「イワシ缶」も人気で、カルシウムもしっかりとれるため、骨粗鬆症の予防にもなる。

  • 老化を左右する血管! 若返りのポイントは?

    体の中に縦横無尽に張り巡らされた「血管」をよい状態に保つことは、健康を維持するため、そして老化を防ぐために極めて重要だ。では、強い血管をキープし、老化した血管を若返らせるには、何をすればいいのだろうか。本特集では、2万例を超える心臓・血管手術を手がけてきたスペシャリストに、血管の若さを維持する秘訣と、血管を強くする運動法・食事法を聞いていく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

人生100年時代プロジェクト

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2019 Nikkei Inc. All rights reserved.