ビールがおいしい季節になってきた! ビールといえば、日本で一番飲まれている“最も身近なお酒”。乾杯でも定番のこのビールに「認知症の予防効果がある!」というニュースが昨年末に報じられたことをご存じだろうか。ビール党なら狂喜しそうなこのニュースは本当だろうか。このニュースの基となる研究結果を発表したキリン R&D本部 健康技術研究所 研究員の阿野泰久さんを直撃した。

「まずはビール」――。
居酒屋に入って、慣用句のごとく言うこのセリフ。喉がカラッカラの状態で、ゴキュゴキュと流し込むビールは、左党にとって最高のごちそうだ。
ただ、昨今は糖質制限(ローカーボ)ブームの影響か、糖質が含まれるビールを我慢している人も少なくない。筆者としては「ビールを我慢するより、おつまみに気をつけたほうが建設的」と思う。
そして「ビールには、素晴らしい効能がある」ということも声を大にして申し上げたい。それは「ビールはアルツハイマー病予防に効果が期待できる!」というものだ。
認知症にいいのは赤ワインだけじゃない!
アルツハイマー病の予防というと、本連載でも取り上げた赤ワインのポリフェノール効果を思い浮かべる人が多いかもしれないが(詳しくは「健康効果というと、なぜ赤ワインばかりが取り上げられるのか」を参照)、ビールにも大いに期待ができることが、東京大学、学習院大学とキリンとの研究によって明らかになったという。この研究は昨年11月に発表され、ニュースなどでも取り上げられたので、耳にした方もいらっしゃると思う。
私もいい年になり、恥ずかしながら、最近は「人や物の名前がすぐ出てこない」ことが増えてきた。身内に認知症がいたこともあり、将来認知症になるのでは…と不安に思う機会も間違いなく増えた。だから、今回のニュースは、私にとって気になって仕方ない情報である。お年頃の左党なら、同様に思っている方も多いと思う。
だが、この「ビールがアルツハイマー病予防に効果がある」という話は、本当なのだろうか。ビールといえば、誰もが普通に飲んでいる最もポピュラーなお酒だ。しかも、健康にいいというイメージがある赤ワインなどと比べて、「糖質含有=太る」というイメージもあってか、正直なところカラダにいいという印象は薄い。
そして、もし効果があるとしたら、発泡酒でもいいのか、ノンアルでもいいのかなどさまざまな疑問が思い浮かぶ。そこで今回は、この論文の発表者の1人で、長年ビールの健康効果を研究してきたキリン R&D本部 健康技術研究所 研究員の阿野泰久さんに詳しい話を伺った。