せり出してきたお腹をさすりながら、「最近、飲み過ぎだなぁ…」とつぶやく人は多いかもしれないが、ホントに「お酒」は肥満の原因になるのだろうか? ダイエット理論の中には、「酒はエンプティ(空)カロリーだから太らない」という説もあり、たしかに塩をアテにしてお酒が飲めるような“本物の左党”には、メタボ腹の人はいないような…。そんなお酒と肥満との関係について、ダイエット専門医院「渋谷DSクリニック」の林博之院長にお話をうかがった。
「お酒はたくさん飲みたい、でも太りたくない…」。
日々、酒を飲む左党にとって、気になるのが肥満であろう。確かに周囲の酒好きを見渡せば、痩せているとは言い難く、それどころか、肥満が原因の一つとされる「脂肪肝」「糖尿病」「痛風」といった生活習慣病を抱える人も少なくない。昨今のダイエット論の中には、「酒はエンプティ(空)カロリーだから太らない」という説もあるが、飲み会が続くと、体重はしっかり増えている。
そもそもお酒自体は肥満を助長するのだろうか?
そんな疑問を追及するべく、ダイエット専門医院「渋谷DSクリニック」(東京都渋谷区)の林博之院長にお話をうかがった。
お酒“だけ”だとそんなに太らないかもしれないが…
「そもそもお酒を純アルコールとして換算すると、1g当たり7.1キロカロリーになりますが、このうちのおよそ70%は代謝で消費されることがわかっています。これが『アルコールはエンプティカロリー』、すなわち『太らない』と言われる理由の一つです。さらに同一カロリーを脂質や糖質でとった場合と比較すると、アルコール自体には栄養素がないために、体重増加作用が少ないと考えられています。これらを踏まえると、純アルコールだけであれば、ほとんど太らないと言ってもいいのかもしれません。ですが、ビール、日本酒、ワインなどの醸造酒には糖質・たんぱく質などが含まれており、そうしたお酒をたくさん飲めば、摂取するカロリーも当然増えていきます。やはり、“適量”を守ることが大切です」(林院長)
林院長が言う“適量”とは、純アルコールで20~40gの範囲に収まることを指す。日本酒に換算すると1~2合となる。実際、クリニックでは「ダイエットはしたいが、お酒は止められない」という患者に向けて、林院長は「200キロカロリーまで酒は飲んでもよし」とし、ビールなら中ジョッキ1杯、ワインなら3杯弱は許容範囲としている。自らも左党を公言する林院長は、「個人的には、200キロカロリー以内に収まるよう工夫して、糖質を含む日本酒やワインではなく、糖質オフ、プリン体ゼロのアルコール飲料を選んで飲んでいます」とのことだ。

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