酒席の前などに、二日酔い・悪酔い対策のためにサプリや薬を飲んでいる人は多い。中でも漢方薬を愛用している人は少なくないだろう。だが、そもそも二日酔いのために漢方を飲んでいいのか、飲む前に単発で飲んでいいのか、体質・症状でどう使い分けるのかなど、分からないことが多くある。そこで今回は、北里大学 東洋医学総合研究所の医史学研究部 部長の星野卓之さんに話を聞いた。

左党であれば、ほとんどの方が持っている「ここぞ!」というときに飲む“特効薬”。二日酔い防止などのために、飲む前や飲んだ後に飲むサプリメントや薬だ。
飲み会で左党仲間と集まると、必ず始まるのが個々の“特効薬”の渡し合いである。ウコン入りのドリンク剤の人もいれば、肝臓水解物(*1)の人もいる。誰もが自信をもって「コレいいから!」と“特効薬”を押し付けあう様子は、酒を飲まない人にとっては異様な光景に見えるに違いない(なお、自分用に処方された薬を他人に勧めるのはNGです)。
私が「ここぞ!」というときに飲むのは漢方薬
かくいう私も実は“特効薬”を持っている。それは漢方薬の「五苓散(ゴレイサン)」だ。ツワモノが集まる飲み会の前には必ず飲む。そして、確かな効果を感じている。服用すれば悪酔いしにくいし、お酒を飲んだ後に服用すれば、むくみにくい(私はお酒を飲んだ後はむくみやすいのです)。
私周囲の左党にも五苓散の愛用者は多い(市販薬・処方薬ともに)。実際、この連載の取材で話を伺った先生の中にも五苓散を愛用していた人がいた。
これだけお世話になっている五苓散だが、そもそも五苓散はどういう薬で、どういう状況で飲むべき薬なのか、恥ずかしながらよく分かっていない。今現在、酒を飲む前を中心に五苓散を飲んでいるが、果たしてそれでいいのだろうか。また、本当に自分の体質に合っているかどうかも、実はいまいち分かっていない。確かな効果を感じるので間違いなく私に合っているはず、と思っているが…。
さらに漢方というと、数え切れないほどの薬があると思うが、本当に五苓散がいいのだろうか。風邪薬も体質や症状によって使い分けるくらいなのだから、症状・体質によって使う漢方薬も変わるようにも思う。
また、私をはじめ多くの左党は「確かに効くけど、そもそも漢方って悪酔い、二日酔いのために飲んでいいの?」「漢方薬はジワジワ効くもので、長く飲み続けるものじゃないの?」という疑問を持っている人も多い。知らないことだらけである。
これは専門家にきちんと聞かずにはいられない。そこで今回は、漢方専門医による漢方医学的な診察を行う「漢方ドック」を2016年から始めている北里大学 東洋医学総合研究所の医史学研究部 部長 星野卓之さんに話を伺った。
