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左党の一分

日本人のがんリスク 飲酒の影響が大きい部位は

飲酒とがんリスク【後編】「酒の通り道」になる部位がリスク大

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

  

食道がんと飲酒が密接な関係にあることが裏付けられた

 なるほど、お酒を口から飲んで胃に至るまでのルートで飲酒による影響が大きくなる。特にそこで顕著なのが食道がんというわけだ。

 食道がんについては、ヘビードランカーの知人が食道がんで亡くなっているだけに大いに気になる。食道がんと飲酒の関係については、当コラムでも以前に触れているが(こちらの記事を参照)、そこでも紹介したように、40~69歳男性約4万5000人を対象にした国内の多目的コホート研究から、飲酒習慣がある人は、飲まない人に比べて食道がんのリスクが高いことが明らかになっている(Cancer Letters. 2009;275:240-246.)。今回の研究結果において、食道がんと飲酒が密接な関係にあることが裏付けられたわけだ。

 また、胃がん(1.06倍)大腸がん(1.08倍)なども、がん全体と比べてリスクが若干高くなっている。女性の私としては、乳がんのリスクが1.08倍と、がん全体のリスク(1.05倍)より高くなっていることも気になるところだ。

 当コラムの乳がんの回(こちらの記事を参照)でも解説したように、飲酒は乳がんのリスク要因の1つ。今回の研究で、少量であってもリスクになるという結果が出た。女性はアルコールの分解能力が低いケースが多いだけに、より一層お酒の飲み方に注意せねばなるまい。このほか、子宮頸がん(1.12倍)前立腺がん(1.07倍)などもリスクは高めだ。

国立がん研究センターが評価する飲酒によるがんのリスクは?

 国立がん研究センターでは、日本人のがんと生活習慣との因果関係の評価を行っている。国内外の最新の研究結果を基に、全体および個々の部位のがんについてリスク評価を「がんのリスク・予防要因 評価一覧」としてホームページで公開している。「データ不十分」⇒「可能性あり」⇒「ほぼ確実」⇒「確実」の順に科学的根拠としての信頼性が高くなる。

 この評価では、「飲酒」により全部位のがんのリスクが上がるのが「確実」となっている。部位別に見ると、「食道」「肝臓」「大腸」が確実になっている。

国立がん研究センターの「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」の「エビデンスの評価」の一部。(国立がん研究センターのホームページより一部抜粋)

注意すべきはお酒の種類ではなく、お酒の総量

 少量の飲酒であっても、がんの罹患リスクが上がることが明らか――。こうした事実を踏まえても、酒好きが「酒を完全にやめる」というのは難しい…。せめて、がんのリスクができるだけ上がらないお酒の飲み方を実践したいところだ。

 先生、がんの罹患リスクをできるだけ上げないためには、どんな飲み方がいいのでしょうか。醸造酒や蒸留酒といったお酒の種類を変えるといった対策はアリなのでしょうか…。

 そう尋ねると財津さんは、「最も着目すべきポイントは『お酒の総量』、お酒の種類うんぬんより酒量です」と言い切る。

 「アルコールそのものに発がん性があり、さらにアルコールの代謝副産物であるアセトアルデヒドもがんの原因となることが分かっています。私たち日本人は遺伝的にアセトアルデヒドの分解能力が低い人が一定数いますから、少量でも影響を受けやすいのです。このことから、飲み始めた年数から今に至るまでどれだけアルコールを飲み、そのリスクにどれだけさらされてきたかが重要となるのです」(財津さん)

 薄々想像できたこととはいえ、結局のところ、お酒の量を減らす、それに尽きるということだ。ガックリ肩を落とす私たちに財津さんは優しくこうフォローしてくれた。

 「本研究では『お酒は少量でもがんのリスクになる。飲まないに越したことはない』と結論づけましたが、実際のところ、お酒好きの人がお酒を完全にやめることは、なかなかできませんよね。しかし、この研究結果を知っているのと、知らないのとではお酒に対する『意識』が違ってくるのではないでしょうか。1日1合程度という適量を目標に、飲む量は減らしたほうがいい。『総量』に留意し、今飲んでいる量より『少しでも減らす』ことを目標にしてください」(財津さん)

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