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左党の一分

勝谷誠彦さんを襲った「重症型アルコール性肝炎」とは

調子が悪く倦怠感があるときに「惰性で飲む」のは危険

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

昨年11月、コラムニストで兵庫県知事選挙にも立候補した勝谷誠彦さんが亡くなった。勝谷さんの命を奪ったのは「重症型アルコール性肝炎」。このニュースを聞いて、アルコールの過剰摂取が体に与える害について認識を新たにした方は少なくないだろう。今回は肝臓専門医で、『酒好き医師が教える 最高の飲み方』の監修者である浅部伸一さんに、重症型アルコール性肝炎の怖さと予兆や対策を聞いた。

勝谷誠彦さんを襲った「重症型アルコール性肝炎」とはどういうものなのだろうか。(写真はイメージ=(c)Axel Bueckert-123RF)

 「病気が怖くて、酒を飲んでいられるか!」

 酔っぱらって、こんなふうに虚勢を張る左党がたまにいる。しかしその多くは、しらふになると、「実は肝臓の数値あんまり良くないんだよね…」とポツリと不安を漏らす。そう、どんな豪傑な左党だって、病気はおっかないのだ。中でも左党が最も恐れているのは、アルコールが原因による重篤な肝臓の病気である。

 かくいう筆者だって肝臓の病気は怖くてたまらない。酒ジャーナリストという仕事柄、私の周囲にもアルコールが原因で肝臓を壊し、若くして他界された方もいる。昨年11月には、コラムニストの勝谷誠彦さんが重症型アルコール性肝炎によって、57歳という若さで亡くなった。ご存じの方も多いと思うが、勝谷さんの酒好きは知られており、日本酒関連の本を何冊も出されている。

 生前、雑誌の対談や日本酒の会などで顔を合わせることも多く、その豪快な飲みっぷりはよく存じあげていた。報道によると、夏に入院した後、一度退院したものの、その1カ月ちょっと後に帰らぬ人に…。あまりに急過ぎる展開に、恐怖を感じる人も多かったように思う。特にドクターから肝臓の数値や、酒量について注意されている方はより強く自分の身を案じたのではないだろうか。

 ではこの重症型アルコール性肝炎とはどういうものなのだろうか。「アルコール性」で「重症」なのだから、過度な飲み過ぎが原因で起こる肝臓の病気だということは推測できるものの、どんな症状なのか、事前に予兆を察知することはできないのか、そして急性肝不全とどう違うのか、などわからないことが多い。そこで今回は、肝臓専門医で、『酒好き医師が教える 最高の飲み方』の監修者でもある浅部伸一さんに話を伺った。

重症型アルコール性肝炎、急性肝不全、劇症肝炎、何が違う?

 重症型アルコール性肝炎について詳しく話を聞く前に、まずは、肝機能が急激に低下する病気について整理しておきたい。急性肝不全、劇症肝炎といった病名も耳にするが、これは重症型アルコール性肝炎と何が違うのだろうか。

 浅部さんは、「急性肝不全は、正常だった肝臓が、短期間で機能が低下する病態(肝不全)を指します。劇症肝炎はその中で、発症から8週間以内に何らかの原因によって急性の炎症が肝臓に起こり、肝機能が著しく落ちてしまう病態です。急性の中でもより重症のものと考えてください」と説明する。

 「劇症肝炎の症状で一番典型的なものは、ウイルス性の肝炎で、最も多いのがB型肝炎です。成人後、B型肝炎にかかった場合、急性肝炎になりますが、多くは自然に治ります。しかしごくまれに治らず、死に至る方もいます。実際、私が担当していた患者の中に、B型肝炎が劇症化し、他界された方もいました。劇症肝炎は、ウイルス性のほか、薬剤によるものも多く、まれに自己免疫によるものもあります」(浅部さん)

 確かに、肝臓の病気といっても原因はアルコールばかりではないわけだ。では、勝谷さんの命を奪った重症型アルコール性肝炎とは?

 「重症型アルコール性肝炎は、名前からもわかるように、アルコールが主因によって起こる肝不全です。慢性的なアルコールの摂取によって、アルコール性肝障害がある人が陥りやすい病気です。慢性飲酒により肝臓にかなりダメージを受けている人が、より重症化したものです。肝臓の細胞が死んだり働かなくなって、急激に肝機能が悪化、それによりさまざまな病気を合併します。病状が重い場合は、発症1カ月以内に死亡することも多い恐ろしい病気です」(浅部さん)

 なるほど、すでに飲み過ぎでアルコール性肝障害がある人が、一気に悪化して陥る病気なのだ。浅部さんによると、重症型アルコール性肝炎になった人は、健診などの肝機能の数値が悪化しており、医師などから注意を受けている人がほとんどだという。

酒好き医師が教える最高の飲み方

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