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左党の一分

勝谷誠彦さんを襲った「重症型アルコール性肝炎」とは

調子が悪く倦怠感があるときに「惰性で飲む」のは危険

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

重症型アルコール性肝炎の治療法は?

 先生、もしこの重症型アルコール性肝炎に罹患した場合、効果的な治療はあるんでしょうか?

 「残念ながら、症状が重い場合、効果的な治療法はありません。肝不全に対して一般的には血漿交換という処置を行いますが、劇的な効果はなく、その効果は1日程度しか持ちません。血漿というのは血液中の液体成分のことです。健康な方から血漿成分をもらい交換することで、血液中の炎症成分や老廃物を取り除こうというものです。また、肝不全になると血液中の凝固因子が減り、出血すると血液が固まりにくく、それが命取りになることもあります。それを防ぐために血漿成分をもらうわけです」(浅部さん)

 また、炎症を抑えるためにステロイドを投与するという方法もあるものの、ステロイドは免疫機能を抑えるため、肺炎などをはじめとした感染症のリスクが高まるため、賛否両論があるのだという。

 さらに、肝不全に対して最も有効な治療法は肝移植だが、一定期間の禁酒を条件にするのが普通で、日本で重症アルコール性肝障害のケースで肝移植が行われることは少ないのが現状だとのこと。

 なお、浅部さんによると、どこからが「重症型アルコール性肝炎」に該当するかは必ずしも明確になっているわけではないのだという。「実際には、重症型まではいかないけれど、その間際という患者も多くいます。黄疸が出て腹水もたまって救急車で運ばれてきた人でも、点滴をして全身管理をして、お酒を絶っていただくと、回復される方も多くいます」と浅部さんは話す。

 この話を聞いて少し安心した。「黄疸」が出たらもう後がないのかと思っていたが、必ずしもそうではないのだ。

重症型アルコール性肝炎にならないためには

 ここまでの説明で、重症型アルコール性肝炎の怖さはよくわかった。では、重症型アルコール性肝炎にならないためには何をすべきか、そして重症化する前に、危険を察知する方法はないのだろうか。

(写真はイメージ=(c)Donato Fiorentino-123RF)

 まずは対策から。重症型アルコール性肝炎はもちろんだが、その前段階のアルコール性肝炎にならないためには、具体的にどういうところに注意すればいいのだろう? 先生、やっぱり酒量を控えることが先決なのでしょうか?

 「はい、何と言っても酒量を抑えることが第一です。アルコール性肝障害のリスクが高くなると言われるのは、純アルコールに換算して60グラム。日本酒で言うなら3合です。このくらいの量を日々飲んでいる人は少なくないでしょう。これを適量と言われるアルコール20グラム、日本酒1合に抑えるように心がけてください。個人差はありますが、特に肝機能異常を指摘された場合は飲酒量を抑えるのが原則です」(浅部さん)

 そして浅部さんは、「前述したように、倦怠感や食欲不振などがあり、調子が悪いときはアルコールを飲まないことが大事です」と話す。肝機能が落ちているときにアルコールを飲むと、いつもの量であっても肝臓のダメージがさらに大きくなる。負のスパイラルに陥らないためにも、「惰性で飲まない」ことが大切だ。

 浅部さんがこれまで診てきた重症型アルコール性肝炎に罹患した人は、1日に純アルコールで100~200グラムを超えるような酒量の人はざらだったという。これは相当な酒量だ。「アルコール依存症、もしくはそれに相当する方です。過剰飲酒を続けることは依存症になるのはもちろん、肝臓に致命的なダメージを与えるということを認識してください」(浅部さん)

 なお、女性も注意していただきたいと浅部さんは警告する。「女性は、男性よりも肝臓が小さく、肝臓の処理能力が低い傾向があります。女性のほうが少量、短期間での飲酒で重症化しやすいのです」(浅部さん)

酒好き医師が教える最高の飲み方

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